中国・上海にある葬儀場が3Dプリンターで身体の一部を作成し、遺体を修復するサービスを開始したと中国国際放送(CRI)が伝えた。
サービスを始めたのは龍華葬儀場。ニュースサイト「澎湃新聞」によると、様々な材料を重ね合わせて3次元のボディパーツを作成する。それを髪のインプラント、メイクを組み合わせると、元の顔に少なくとも95%近い顔を再現できるという。
この技術は、自然災害や交通事故、労働災害などで損傷した遺体の修復に使われるだろう、と澎湃新聞は伝えている。
3Dプリンターでつくられた人工の鼻。2013年11月8日、ロンドンの3Dプリントショーで撮影
「愛する人の顔や身体が損なわれているのを目にするのは、親族にとってつらいことですが、メイクだけでは十分に修復できないことがあります」と、上海葬儀サービスセンターの管理者、劉鳳鳴さんが上海日報で述べている。この技術を使うと死体を若く見せたり、綺麗に見せたりすることもできる、と劉さんは話している。
中国では多くの人が、自然災害や交通事故、労働災害で亡くなっている。深圳市で起こった土砂崩れの現場で働くレスキュー隊員たち。
澎湃新聞によると、中国では伝統的に、損傷した死体を泥やワックスといった材料で修復してきた。しかしこの方法では、死体の顔の形を再建できても、皮膚や髪の手触りを再現できなかったと劉さんは説明している。CRIによると、顔の再建費用にかかる費用は620〜776ドル(約6万8000〜8万6000円)だ。
近年、中国では多くの人が労働災害で亡くなっている。2015年12月には、中国南部の深圳市で土砂崩れが起こり、約60人が亡くなった。原因となったのは周辺の建設現場から出た残土や建築廃材だった。
中国の「第13次5カ年計画」は、科学・テクノロジー分野での技術革新を目標としている。中国・武漢で、3Dプリンターでつくった指を試す指を失った少年。
龍華葬儀場の新事業は、上海市が実施している中国の「第13次5カ年計画」の一環だ。2015年10月に発表された第13次5カ年計画は、科学とテクノロジー分野でより一層の技術革新を進めるよう求めている。2015年2月には、工業・情報化部が3Dプリント事業計画のアウトラインも発表している。
ボディパーツを3Dプリンターでつくる技術は、世界中で進んでいる。2016年2月には、科学者たちが3Dプリンターでつくった臓器を体内で動かすことに成功した。3Dプリンター技術で、障害を持つ人を助けたり、臓器不足の問題を解決したりする可能性が広がってきている。
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。