アメリカ連邦捜査局(FBI)が、2015年12月にカリフォルニア州であった銃乱射テロの容疑者が所有していたiPhoneのロック解除に成功したと、司法省が3月28日に発表した。「データにアクセスできたため、Appleに協力を求める必要がない」と裁判所に伝え、協力申し立てを取り下げたという。朝日新聞デジタルなどが報じた。
アイリーン・デッカー連邦検事は声明で、「第三者の協力を最近得て、保存されている情報を全く損なわずにこのiPhoneのロックを解除できるようになった」として、訴訟の打ち切りを決めたことを明らかにしたという。
FBIに協力した「第三者」の正体は不明だが、犯罪捜査技術を手掛けるイスラエル企業「セレブライト」が協力していたと、ロイターが報じていた。
セレブライトは、愛知県に本社を置く電子機器メーカー「サン電子」の子会社。サン電子コーポレート本部は時事通信の取材に対し「(ロック解除の)報道は承知しているが、コメントは差し控えたい」と述べ、セレブライトの協力の有無について明らかにしなかった。
■アメリカ政府とAppleの対立に発展していた
毎日新聞によると、ロックが解除されたのは、2015年12月2日にカリフォルニア州のサンバーナーディーノで14人が死亡した銃乱射テロで、警察に射殺されたサイード・ファルーク容疑者のiPhoneだ。
FBIは犯行の動機や背景を解明するため容疑者のiPhoneから情報を得ようとしたが、ロックの解除に失敗。FBIの申し立てを受けたカリフォルニア州連邦地裁は2月16日、製造元のAppleにロック解除に協力するよう命令を出していた。
Appleはこれまで、セキュリティーやプライバシーに広範な影響を及ぼすとして、政府への協力に反対。GoogleやFacebookといった大手IT企業もAppleへの支持を表明していた。