全国で事故が相次ぎ問題となっている組体操について、スポーツ庁は3月25日、安全性を確実に確認できない場合は実施を見合わせるよう求める通知を、全国の都道府県教委などに出した。毎日新聞などが報じた。
スポーツ庁によると、日本スポーツ振興センターのデータをもとに分析した結果、組体操の練習中などに起きる事故は年間8000件を超え、過去46年間に組体操の事故で9人が死亡、障害が残った子どもは92人に上るという。2014年度には全国の小・中・高校で8592件の事故が発生。このうち「タワー」が1241件、「ピラミッド」が1133件だった。
けがをした子どもの位置の割合をみると「ピラミッド」では最下段が44%、「タワー」では中段が46%を占めたが、位置の高低を問わずけが人が発生している。また、少人数の演技でも事故が多発しており、倒立や肩車では合わせて400件以上の骨折事故があった。
スポーツ庁の通知では、演技種目や高さは一律に規制せず、原則として学校側の判断に委ねるという。その上で、確実に安全でない場合は組体操を中止することを求めた。馳浩文科相は会見で「学校には子供への安全配慮義務がある。一律禁止ではないが、やるのであれば一層の緊張感を持ち、周到な対策に取り組んでほしい」と述べた。
■組体操の事故防止、自治体はどう対応?
大阪市では2月9日、市教委が「ピラミッド」「タワー」を2017年度から禁止することを決めた。文部科学省によると、自治体が禁止するのは全国初だという。
東京都でも、都教委が3月24日、都立学校において「ピラミッド」と「タワー」について2016年度は原則休止することを発表した。一方で区市町村立の小中学校などについては、各教育委員会が対応を決めるという。都内の学校での組体操中の事故は、2014年度には728件発生し、そのうち小学校が563件と最も多い。
【UPDATE】7月1日 14:25
ピラミッドとタワーの事故件数を修正しました。