大阪大学の研究拠点が目標に掲げている「スーパー日本人」という単語について、脳科学者の茂木健一郎氏が3月2日、「普遍的な価値を生み出すことを志向する大学で使うには、不適当な気がする」と疑問を投げかけた。
大阪大学の西尾章治郎総長の説明によると、文科省などが推進する「革新的イノベーション創出プログラム」の一環として、大阪大学は全国18カ所の拠点のうちの一つ「人間力活性化によるスーパー日本人の育成拠点」に採択された。その結果、2013年11月に大阪大学にセンター・オブ・イノベーション(COI)が発足したという。
「人間力活性化によるスーパー日本人の育成拠点」の公式サイトには、以下のようなキャッチフレーズが並んでいる。
「一人一人が最高に輝くハピネス社会」の実現
幼少期から老年期に至るまで、一人一人が常に意欲的に潜在力を発揮できるスーパー日本人を目指す。
「人間力活性化によるスーパー日本人の育成拠点」の公式サイトに掲載されている資料
■茂木健一郎氏「科学技術の受益者の対象は全人類であるはず」
3月1日から2日にかけて「スーパー日本人」のキーワードが、「スーパーサイヤ人と言うのは聞いたことがあるが……」「ヤバいとしか言えない」などと、ネット上で話題になった。
こうした中で、脳科学者の茂木健一郎氏は自身のブログを更新。研究について「取り組まれようとしている要素技術はまとも」と評価しつつもスーパー日本人という単語が資料に頻出することについて、「科学技術の受益者の対象は、そもそも全人類であるはずで、技術の大きなプロジェクトにおいて、ある特定のナショナリティが出る余地はあまりないと思う」などと疑問を呈している。
「スーパー日本人」というキーワードが随所に散りばめられていますが、なぜ「スーパー」なのか、なぜ「日本人」限定なのかという根源的な問題は最後まで解消されませんでした。
しかし、取り組まれようとしている要素技術はまとも、というか普通で、ぜひ、大いに研究されてイノベーションを起こしていただきたいと思います。
そのような要素技術の集合を、なぜ、「スーパー日本人」 というキーワードでくくらなければならないのか、その点だけが不思議でした。
先日TEDに行ってきた直後だからますます思うのかもしれませんが、現代における科学技術の受益者の対象は、そもそも全人類であるはずで、技術の大きなプロジェクトにおいて、ある特定のナショナリティが出る余地はあまりないと思うのですが、そのあたりの発想の出どころも含めて、ふしぎな感じがしました。
もし、プロジェクトがうまく行ったら、その受益者は別に日本に限りませんよね。
っていうか、「スーパー日本人」 というキーワード自体が、普遍的な価値を生み出すことを志向する大学で使うには、不適当な気がするのですが。。。
(茂木健一郎 公式ブログ - スーパー日本人プロジェクト(笑) - Powered by LINE 2016/03/02 13:17)
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