ベトナム人女性グエン・ティ・フエ(42歳)は、2012年にクアンニン省で麻薬を密売した罪で逮捕された。2年後、彼女は死刑の宣告を受けた。上訴したが裁判所はこれを棄却し、死刑が確定したとAP通信が伝えている。
しかし、フエは死刑を免れることになりそうだ。ベトナムの刑法は妊娠している女性または36カ月未満の子供がいる母親の死刑を禁じていて、こういったケースでは死刑を終身刑へ変更するよう定めている。
2015年8月、フエは27歳の男性囚人に2000ドル以上を払い、彼の精液と注入器を買った。そしてこれを使って自分を妊娠させたという。出産予定日は4月で、出産後、正式に死刑から終身刑へと減刑される予定だ。
4人の刑務所職員が、職務怠慢の疑いで停職処分になったとAP通信は伝えている。
地元の新聞タインニエン紙によると、妊娠で死刑を免れた囚人はこれが初めてではないという。
ホアビン省の刑務所では、2007年に男性囚人と性行為をした女性囚人が妊娠した。そして同年3月に男児を出産し、銃殺による死刑を免れた。この一件では、性行為を見逃していた2人の看守が投獄された。
ベトナムは、死刑を廃止するよう国際的な圧力を受けている。特に麻薬関連の罪に対する死刑をやめるよう各国政府や人権団体から強く求められている。
2002年、オーストラリア人のレ・ミー・リンが麻薬密売の罪に問われ死刑判決が下った時、オーストラリアは激しく抗議した。当時オーストラリアの外務大臣だったアレクサンダー・ダウナー氏は「オーストラリアは、世界中で行われる全ての死刑に一貫して反対する」と発言した。
ベトナムは、2015年に刑法の改正案を可決した。改正後は7つの犯罪(強盗、偽装食品の生産とその流通、麻薬の所持、麻薬の横領、国家の重要な安全保障活動に対する破壊行動、軍隊での命令違反、敵国への降伏)で死刑が廃止される。新しい刑法が有効になるのは2016年7月からだ。また改正後、汚職の罪に問われた公務員は、違法に得た金銭の75%を返金すれば、死刑判決を終身刑へと減刑できるようになる。
春に生まれてくる赤ん坊に、命を救ってくれてありがとうとフエは感謝することだろう。
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
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