将来、本は今とはまったく違う形になる。紙のページは画素に取って代わられ、表紙絵は古美術品のように扱われるかもしれない。
ここ何年も私たちはそう聞かされてきた。「紙は死んだ。電子書籍こそが未来だ」と。ところが最近の研究を見ると、どうやらそう簡単に紙は滅びなさそうだ。
アメリカン大学の言語学の教授で、ハフポストUS版のブロガーでもあるナオミ・S・バロン氏が、アメリカ、日本、ドイツ、スロバキアの300以上の大学の学生を対象に、読書に関する調査を実施した。彼らに「紙の書籍、携帯電話、タブレット端末、電子書籍、ノートパソコン」の中でどの媒体を好むかを尋ねたところ、なんと92%の学生が、しっかりとした読書をする場合には紙の書籍がいいと回答した。
紙媒体が人気を集める理由としてバロン氏は、
・ 電子書籍上に表示されるパーセンテージよりも、どれくらい読み進めたかがわかりやすいので満足感を得やすい
・ 電子書籍になっても、防水仕様ではない
・ コンピューターやモバイル機器に長時間を費やしているので、それ以外で電子機器のディスプレイを見たがらない
などを挙げている。
またニュー・リパブリック誌のインタビューでバロン氏は「電子書籍だと、学生たちは注意力散漫になり、ほかのことに気をとられてしまう」とも述べている。
実際、電子書籍は苦戦を強いられている。ニューヨーク・タイムズ紙は2015年9月に、電子書籍の売り上げが緩やかに減少していると伝えている。電子書籍普及の立役者であるAmazonも、この流れを読んでいるようだ。2015年11月に初の書店実店舗をシアトルにオープンすると発表した。
それでも、一部の書籍が電子書籍のみで販売されたり、電子書籍アプリが開発されたり、本を届ける側は電子書籍に力を入れる傾向にあるようだ。
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
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