経営不振に陥っているシャープは2月4日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入って再建をめざす方針を決めた。国と民間が作る官民ファンド「産業革新機構」も支援を提案していたが、鴻海案の方が資金面で有利で、再建の可能性が高いと判断した模様だ。
実現すればシャープは鴻海に事実上買収されることになる。時事ドットコムなどが伝えた。
鴻海の支援総額は7000億円で、成長資金として5000億円を投じる。シャープ幹部が5日に台湾に入り、鴻海と具体的な協議に入る。シャープの高橋興三社長が4日午後の2015年4~12月期決算発表の記者会見で表明する。
シャープ支援をめぐっては、政府系ファンドの産業革新機構が3000億円規模、鴻海が7000億円を出資する支援案をそれぞれ提示していた。再建の実現可能性や経済合理性などを総合的に判断した結果、革新機構の約2倍の資金を提示し、主力取引銀行にも大きな追加負担を求めない鴻海案が支持を得た。
(時事ドットコム:シャープ、鴻海が買収へ=優先交渉で月内合意目指す-総額7000億円を支援より 2016/02/04 13:31)
シャープは、先週までは液晶技術を国外に流出させないという政府の意向や支援の実現性を踏まえ、産業革新機構から出資を受ける提案に基づいて再建を進める方向で調整していた。
しかし、鴻海の郭台銘会長(65)が1月30日に大阪市のシャープ本社を訪れ、経営陣に直接説明。現経営陣を続投させ、事業売却はせずに「シャープ」ブランドを温存し、雇用も守る考えを示した。鴻海の示した条件が機構案を大幅に上回るものだったため、シャープは方針を変更した。
鴻海精密工業の郭台銘会長
■鴻海は電子機器受託製造の世界最大手
鴻海は電子機器の製造を請け負うサービスの世界最大手。iPhoneなどApple製品の部品を手がけており、フォックスコンのブランド名で知られている。毎日新聞は次のように記している。
台湾に本社を置く電子機器受託製造の世界最大手で、郭台銘会長が1974年に設立した。各国から電子部品を仕入れ、安価に製品を組み立てる手法で成長。日米の大手電機から、スマートフォンやテレビ、ゲーム機などの生産を受託している。2014年12月期の連結売上高は約15兆円、連結最終(当期)利益は約4600億円に上る。
(シャープ:鴻海が買収へ…6000億円超拠出 最終調整 - 毎日新聞より 2016/02/04 12:49)
朝日新聞デジタルは鴻海について「グループで液晶パネルを生産しているが、技術面では日本や韓国勢に後れをとっている。シャープの持つ液晶技術を取り込むことで、国際競争力を高めたい考えだ」と伝えている。
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