「僕の目の前でママが燃えちゃった」 7歳の少年がイエメン内戦の恐怖を訴える

イエメンでは9カ月に及ぶ戦争で何百人という子供たちが殺されている。そして、止むことのない暴力で重傷を負ったり、心に深い傷を負ったりしている子供はさらに多い。
MOHAMMED HUWAIS/AFP/GETTY IMAGES

イエメンでは9カ月に及ぶ戦争で何百人という子供たちが殺されている。そして、止むことのない暴力で重傷を負ったり、心に深い傷を負ったりしている子供はさらに多い。

国際慈善団体セーブ・ザ・チルドレンの最近のレポートによると、3月の内戦勃発以来、イエメンでは毎日少なくとも3人の子供が殺されている。

2015年初めのイエメンのイスラム教シーア派の武装組織「フーシ派」によるクーデターとその同盟国による政権掌握以来、サウジアラビアが主導するアラブ連合はハーディー元大統領を再び権力の座に据えようと戦いを続けている。国連によると、3月からの空爆と武力衝突による死者は5700人を超え、その中には600人以上の子供が含まれている。

「子供と武力紛争」アメリカ特別代表のレイラ・ゼルギー氏によると、2015年4-6月期の子供の死傷者のほぼ4分の3はアラブ連合軍の空爆によるものだった。

内戦がアラブ世界の最貧国で人道的危機を引き起こしている。

豊富な文化遺産厄介な政治問題を抱えた貧困国のイエメン。そこで過ごす子供たちにとっては、死が日常事となっている。

「庭で遊んでたらミサイルが家に当たって……僕の目の前でママが燃えちゃったんだ」。7歳のラジャはセーブ・ザ・チルドレンにこう話した。「もう家もなくなったし、家族もいないよ……戦争は好きじゃないし、飛行機も嫌いです」

セーブ・ザ・チルドレンの報告では、イエメンの何千人もの子供たちが紛争の間中、心のトラウマとなるような事件にさらされてきた。多くの親がセーブ・ザ・チルドレンに語ったところでは、子供たちは悪夢にうなされ、大きな音に怯え、頭上で飛行機の音が聞こえると泣くとのことだ。

イエメンの都市タイズの子供たちが始めたゲーム「1,2,3で空爆」では、子供たち全員が地面に身を投げ出して遊ぶと、国境なき医師団の緊急調整官カーリン・クライヤー氏は11月、イギリスの新聞のガーディアンに寄稿した。

爆撃の合間でさえ、子供たちは路上の不発弾によって危険にさらされている。セーブ・ザ・チルドレンによると、イエメンでは既に以前の武力衝突による何千もの地雷と不発弾があちこちに埋まっており、進行中の内戦によって事態はさらに悪化している。

人権団体によると、サウジ主導の連合軍は軍事作戦でクラスター爆弾を使用している。これは大量の小型不発弾の拡散で市民を危険にさらすため、国際法で禁止されている。

「通りで遊んでいたら、友達の一人が道端で変なものを見つけました。拾ってそれで遊んでいたら火を噴き始めたんです」。10歳のムハンマド君はセーブ・ザ・チルドレンにこう話した。「誰かが僕たちを病院に連れて行ってくれました。後で分かったのですが、友達が3人が死にました。僕の親友も含まれています」。

セーブ・ザ・チルドレンのパートナーで、不発弾の発見や除去の支援活動を行っているイエメ地雷対策センターによると、3月末から6月初めにかけて地雷によって少なくとも4人の子供が死亡し、50人以上が負傷した。

イエメンは内戦勃発前から既に深刻な水不足に取り組んできた。

一方で負傷した子供たちが治療を受けることは次第に難しくなっている。世界保健機関(WHO)によると、戦争勃発以来、600以上の病院がスタッフや燃料、医療用品の不足で閉鎖され、少なくとも69の医療施設が戦争で全壊や半壊の被害を受けている。

セーブ・ザ・チルドレンが記録したある事件では、首都サヌアの主要な小児科病院が9月、近場での空爆で損害を受け、治療中の多くの子供たちが転院を余儀なくされた。また、空爆で人工呼吸器が切れ、幼児が数人亡くなった。

「子供たちの身体は小さくてデリケートで発達途上であることから」、子供たちは爆弾で特に複雑な傷を負い、特別な治療が必要となっている、とレポートは指摘した。

「負傷した子供たちを治療するのに、まさに必要な医療施設そのものが、皮肉なことに爆弾によってたびたび被害を受けたり破壊されたりしてきた」。セーブ・ザ・チルドレン・イエメンのディレクター、エドワード・サンチアゴは声明でこう述べた。

全国で約180万人の子供たちが、栄養失調の危機にある。

子供たちは特に栄養失調や病気に弱い、とレポートは警告した。もともと危機的だったイエメンの人道的状況は戦争でさらに悪化し、市場も農業も漁業も紛争によって破壊されたままだ。国連によると、イエメンの180万人の子供たちが栄養失調の危機にある。

また、戦争によって何千もの学校が閉鎖を余儀なくされ、何百もの学校が戦争で損害を受けた。一部の学校の建物は、紛争で住むところを失くした家族の一時的な収容施設として使用されている。

子供たちをイエメンの兵士にさせないようにする国際的な取り組みも暴力に邪魔されている。少年兵士の募集は、イエメン軍や国内で活動する無数の武装集団(フーシ反乱軍や部族の民兵、アルカイダなど)の長年の慣行だ。

多くの学校が戦争のさなか、閉鎖を余儀なくされた。

民間人の犠牲者が増える中、あらゆる方法でイエメンの内戦で人権侵害の調査を開始しようとする国連人権理事会の活動をサウジアラビアは阻止した。アメリカとイギリスは、サウジ主導のアラブ連合軍への軍事的支援と情報提供支援を抗弁した

「国際社会がイエメンの紛争による人的被害を公然と非難したがらないことは、外交関係や武器の売り上げの方がイエメンの子供たちの命より大事との印象を与えている」。サンチアゴ氏は声明でこう指摘した。

国連が紛争当事者間の和平協定を仲介しようとしたことを受け、14日にハーディー元大統領は、彼の軍隊と連合軍が和平交渉を可能にするために12月15日から7日間の停戦を守ると述べた。一方、アルカイダと過激派組織「イスラム国」(IS)の関連組織は、国内の混乱に乗じて攻撃を拡大、この危うい国の戦争という長年の負の遺産に対する不安を高めている。

「武器を見るととても怖いです。空を飛ぶ飛行機の音を聞くともっと怖いです」。13歳のワヒーダさんはセーブ・ザ・チルドレンにこう話した。「戦争で僕の国の美しいものすべてが失われていきます」

セーブ・ザ・チルドレンのレポートの中の子供たちの名前は全て身元を保護するために変更されている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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