教育界のノーベル賞と言われる「グローバル・ティーチャー賞2016」のトップ50人が12月9日に発表され、日本人として初めて、工学院大学附属中学校・高等学校(東京都八王子市)の教員・高橋一也氏が選ばれた。グローバル人材の育成に貢献したことなどが評価された。
■グローバル・ティーチャー賞とは?
グローバル・ティーチャー賞は、イギリスの国際教育機関であるバーキー財団が創設したもので、教育分野におけるノーベル賞と称される。教師の担う社会的に重要な役割に焦点を当て、優れた教師の功績を讃えることを目的としている。
2回目の発表となる今回は、世界148カ国、8000人のなかから選考。トップ50人の中から最終的に10人に絞られ、最終受賞者は2016年3月ドバイで開催されるグローバル教育およびスキルフォーラムで発表される。賞金は100万ドル(約1億2300万円)と、この種の賞では最大級のものだ。
■高橋一也さんとは?
高橋さんは、日本の大学院で学んだ後に渡米。最も効果的かつ効率的な教育を設計・開発するための方法論「インストラクショナル・デザイン」を研究した。
LEGOを使った指導法を活用するとともに、人間とチンパンジーの言語を比較したり、高校生向け宇宙エレベーターコンテストを開催したりするなど精力的に活動。生徒がインドネシアを訪問し、現地の社会起業家と共に社会課題に取り組むプロジェクトを開始するなど、グローバルな人材になるためのスキル向上を目的とする指導をしてきた。定期的にワークショップを校内・校外問わず開催し、最新の実践理論を共有するなど、同じ教師への影響も評価された。
■日本における教員の課題
経済協力開発機構(OECD)の調査によると、加盟国など世界34の国と地域の中学校にあたる学校の教員のなかで、日本の教員の仕事時間は世界最長となる一方、指導への自信が参加国・地域の中で最も低い結果となっていた。
また、バーキー財団が2013年に発表した「グローバル・ティーチャー・ステータス・インデックス」によると、日本では教師に敬意を持つ人の割合が16.2と、最下位から4番目。
一方で、財務省からは10月、全国の公立小中学校の教職員定数について2024年度までに約3万7000人削減する案を提示。少子化に対応し、定数全体の約5%を減らし、歳出を削減すべきと主張している。
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