福島第一原発がある福島県の浜通り地区で10月10日、地元の中高生らを含めた約1440人による清掃ボランティアが行われた。この活動を主催したNPO団体に、「殺人行為」「狂気の沙汰」など誹謗中傷の電話やファクス、メールが、約1000件も寄せられていたことが分かった。11月23日、産経新聞などが報じた。
このボランティア「みんなでやっぺ!きれいな6国」は、道路沿いに捨てられたごみの多さに見かねた地元の高校生が声を上げ、NPO法人「ハッピーロードネット」と地元の青年会議所が共同で開催。福島第一原発がある双葉町と大熊町を除く、浜通り地区の全8区間、約50キロをゴミを拾った。避難区域となっている浪江町や富岡町の区域は、大人が作業した。
しかし、告知を始めた9月中旬ごろから、NPO団体に誹謗中傷の電話やメール、FAXが届き始めたという。47NEWSが紹介している実際に届いたFAXは、以下のとおり。
10/10(土)の国道6号線清掃活動は殺人行為です。中止してください。
原発事故前の活動の写真を使い、中高生に歩行者は通ってはいけない6号線の清掃をさせる→若者を早く殺して賠償を減らしたいという明らかな犯罪です。
これから1〜2年で首都圏でも爆発的な被爆被害が出ます。
無知無関心な日本人はだませても世界から犯罪行為として追求され・・・
(福島・国道の清掃活動に誹謗中傷 「殺人行為」電話やメール - 47NEWSより 2015/10/30 17:21 )
「週刊金曜日」によると、活動ルートの放射線測定値が公表されないことや、被曝防護措置の不十分さなどを理由に、全国70を超える市民団体が中止を求める提言書を提出した。
一方で、ハッピーロードネットの西本由美子理事長は、「親から参加承諾をもらい、強要はしていない。中高生のごみ拾いは高校の通学路で、線量も低い。線量計も持ち、事前に落ちていたごみの線量も測っている」と話したという。
抗議があったことについて、福島大学特任研究員の開沼博氏は、11月2日付の福島民友新聞に寄稿し、このボランティアが「地元の子どもの強い思いがあって」実現したことを紹介。「ただ普通に生活をしようと望む子どもたちが嫌な思いをする」として、「被害を増やさぬよう努力することが重要だ」と訴えた。
今回のようにただ普通に生活をしようと望む子どもたちが嫌な思いをする。その子どもたちが大人になった時に根拠なき偏見に晒される。農家や漁師、観光に関わる方々が懸命に働くだけでいわれ無き侮辱をされ、損害を受け続ける。弱い立場に置かれ冷静な判断が難しい人が、不安な気持ちにつけこまれて非科学的なデマを信じこまされ悪意をもった者に利用される。
これは、深刻な人権侵害・差別問題だ。加害者には毅然とした対応をとり、被害を増やさぬよう努力することが重要だ。
(2015年11月2日付福島民友)
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