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家事に時間をかけすぎる日本人――ラクすることはいけないの?

親も人間、完璧な親はいません。子どもとの時間を効率よく作ることも大切です。
Parents and kids sitting around yosenabe
Parents and kids sitting around yosenabe
imagenavi via Getty Images

日本では、世界に比べて家事に時間がかかっていると言われています。とくに乳幼児〜小学生の子どもがいるママ世代では、仕事と家事に追われ、子育てに十分な時間を割くことができず、ストレスと悩みは深まるばかりです。

世界各国の家事に関するデータを比較してみると、日本はアメリカの1.5倍など、日本人がどれだけ家事の時間がかかっているのかがわかります。

なぜ、「親は家事に手間をかけなければいけない」と思ってしまう人がいるのでしょうか? 病児保育サービスを通じて親の負担が軽減される社会を目指す、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんにお話を伺いました。

――駒崎さんが手がけられている「病児保育サービス」とは、子育て世代にとって必要ではあっても、まだ一般的には普及していないのではないでしょうか?

フローレンスでは、はしか以外、すべての病気でご利用いただけるもので、当日対応可能、厳しい研修を経た病児保育専門のスタッフがお預かりします。一般的に子どもが熱を出すと、保育園では預かってもらえません。そうなると働く親は必然的に仕事を休まなくてはならず、子育てと仕事の両立を阻む大きな壁となっています。病気になった子どもを預かってくれる施設は、日本ではまだまだ数が足りない状況ですね。

――海外では当たり前の育児サービスとはいえ、日本では「病気のときに子どもを預けるなんて…」という反応をする人も多いように感じられます。駒崎さんはどのように思いますか?

子どもが病気になったとき、親のほうが泣きたくなることがありますよね。看病したくても仕事がある。または、突然休むため会社に迷惑をかけてしまう。子どもの病気なんて突発的でよくあることなのに、親が自分自身を責めてしまう面があります。でも、親は看病の専門家というわけではありませんから、自分が看なければいけないというのは、本来合理的ではありません。子どもの看病以外にも、そういった“そうしなければならない”“かくあるべし”という固定観念はいろいろありますね。

――家事代行や、既製の食品を家族に出すことについても抵抗を感じる風潮があるようです。ほとんどの親は、子どもと過ごす時間、自分の時間がなく、仕事との両立も悩みのタネとなっています。

家事は手を抜いていけないという、「母親幻想」めいたものがありますよね。でも、それはただの思い込みです。自分自身は2人の子育ての最中ですが、皿洗いは食洗機を使いますし、掃除は掃除ロボットです。家電に頼れるものは頼り、食事も加工食品やレトルト食品を取り入れています。家事に関してはスピード・効率重視で、その分本当の意味での育児、つまり子どもに向き合う時間を長くとる。もし経済的に余裕があるなら、ベビーシッターや家事代行を頼むのもいいでしょう。子育てをラクにするサービスや商品を買うのは、無駄な消費ではなく、将来への投資なんです。すこやかに働き続けられる、というかたちで、自分に返ってきます。

――家事と子育ての両立に悩むご家庭のリアルな姿を捉えようと、ボンカレーを販売する大塚食品は、3つの忙しい家族にレトルト食品を使ってもらい、普段の夕食風景と比較した「SmileTable Day」を作りました。動画を見た感想では「手作りの料理を作ること」にこだわりを持っている方も多いようです。

手作り料理で子どもへの愛が測れたらいいのですが、それだと、手段と目的が逆転しかねません。子育て中は忙しいのだから、加工食品やレトルト食品を取り入れてもいいのではないでしょうか。便利なものを使うことはズルじゃなく、作業の効率化であり、時間を有効に使う方法なのです。それで親がキリキリしないで子どもと向き合うことが、子どもの自己肯定感を育てることにつながります。

――日本の子育てに関する価値観を変るために必要なことは何でしょうか。

世間を変えようと思うと構えがちですが、年配の人の価値観を変えるのは難しいし、そこに労力を使うことはありません。子育ての意識は、15〜30年の単位で変わっていくんです。フィンランドは今でこそイクメン大国というイメージがありますが、かつては一昔前の日本と同じで、専業主婦が当たり前という文化だったそうです。

何をどう思われようとも、”よそはよそ、うちはうち”と心の中でつぶやいて、まずは自分たちの行動を変えましょう。今の親世代の行動が変われば、次世代の価値観が変わります。

自己犠牲を積み重ねて倒れてしまうのは本末転倒で、頑張り過ぎを未然に防ぐことが大切と駒崎さんは語ります。

親も人間、完璧な親はいません。子どもとの時間を効率よく作ることも大切です。

駒崎弘樹(こまざき・ひろき) 1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、2004年にNPO法人フローレンスを設立。日本初の「共済型・訪問型」の病児保育サービスを首都圏で開始、共働きやひとり親の子育て家庭をサポートする。

2012年、一般財団法人日本病児保育協会、NPO法人全国小規模保育協議会を設立、理事長に就任。

2010年より内閣府政策調査員、内閣府「新しい公共」専門調査会推進委員、内閣官房「社会保障改革に関する集中検討会議」委員などを歴任。 現在、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長、内閣府「子ども・子育て会議」委員、東京都「子供・子育て会議」委員、横須賀市こども政策アドバイザーを務める。

(文・石澤理香子)

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