同性同士のカップルのパートナーシップを公認する「パートナーシップ証明書」が11月5日から、東京都渋谷区で交付されることになった。全国で初めて成立した「同性パートナーシップ条例」に基づくもので、渋谷区の長谷部健区長は10月23日に記者会見を行い、「同性婚を認めるものとは違うが、風穴が開いたと思っている。差別をなくすことに対して、町として全力を挙げて取り組んでいきたい」と語った。渋谷区では、証明書の発行受付を10月28日からスタートする。
■証明書の発行には、公正証書が必要に
「上記両名は、渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例第10条第1項の規定により、パートナーシップの関係であることを証明します」。会見で配布された「パートナーシップ証明書」の見本には、2人の氏名欄の下にこう書かれている。
会見で配布された「パートーナシップ証明書」の見本
渋谷区では、この証明書を「法律上の婚姻とは異なるものとして、条例において、男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備える戸籍上の性別が同一である二者間の社会生活関係を『パートナーシップ』と定義し、二人がパートナーシップの関係にあることを確認して証明するもの」とする。
交付対象者は、「渋谷区に居住し、かつ、住民登録を行っていること」「20歳以上であること」「配偶者がいないこと及び相手方当事者以外の者とのパートナーシップがないこと」「近親者でないこと」が条件となる。交付にあたっては、「任意後見契約に係る公正証書」と「合意契約に係る公正証書」を作成、登録していることが原則的に求められる(特例あり)。これらの公正証書にかかる費用は、数万円と見込まれるが、自己負担となる。
パートナーシップ証明書は、同性婚とは異なり、戸籍に関わるものではないが、住宅の契約や、通院や入院に際し、夫婦のような関係性が実生活において認められるものと期待されている。3月に渋谷区が全国で初めて成立させた「同性パートナーシップ条例」(正式名は、渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例)にもとづくもので、証明書交付に向けて、準備が進められていた。
■長谷部健区長「同性婚ではないが、風穴が開いたとは思っている」
渋谷区議会議員時代から3年にわたり、同性パートナーシップの制度化に取り組んできた長谷部区長は会見で、「やっとここまできたなという感じです。ただ、これですべてが解決するわけではないですし、まだまだ課題もあります。100%という自信はないが、100%に近いところ。これからも色々なご意見をちょうだいして、リニューアルしながら、しっかりしたものになっていけばよいと思っています」と語った。
同性パートナーシップ証明書には、婚姻ほどの法的拘束力はない。しかし、隣接する東京都世田谷区でも同じく11月5日に、同性カップルのパートナーシップを認める「宣誓書」を発行する予定となっている。
こうした動きに対し、長谷部区長は、「(渋谷区の同性パートナーシップ証明書は)同性婚を認めるものではなく、同様の効果を期待されると違います。ただ、これによって、風穴が開いたとは思っています。世田谷区も11月5日から発行しますが、段々と輪が広がっていっています。すべての課題が解決できないかもしれませんが、差別をなくすことに対して、町として全力を挙げて取り組んでいきたい。マジョリティの意識変化が求められていると思います」と期待をかけた。
同性パートナーシップ証明書に関し、渋谷区は事前の相談を「渋谷区男女平等・ダイバーシティ・センター アイリス」で受け付けている。
会見で配布された同性パートナーシップ証明書の資料
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