アフガニスタンのアメリカ軍駐留継続は「利点がある」オバマ大統領の次席補佐官が明かす

オバマ大統領は、2016年末までにアフガニスタンに駐留するアメリカ軍を完全撤退させる計画を断念し、2017年移行も5500人の駐留を継続させると表明した。
WASHINGTON DC - OCTOBER 15: U.S. President Barack Obama speaks about Afghanistan troop withdrawals in the Roosevelt Room of the White House October 15, 2015 in Washington, DC. Obama announced that he would slow the withdrawal of U.S. Troops from Afghanistan, with levels staying the same through 2016, citing the unreadiness of Afghan forces. (Photo by Ron Sachs-Pool via Getty Images)(Photo by Ron Sachs-Pool via Getty Images)
WASHINGTON DC - OCTOBER 15: U.S. President Barack Obama speaks about Afghanistan troop withdrawals in the Roosevelt Room of the White House October 15, 2015 in Washington, DC. Obama announced that he would slow the withdrawal of U.S. Troops from Afghanistan, with levels staying the same through 2016, citing the unreadiness of Afghan forces. (Photo by Ron Sachs-Pool via Getty Images)(Photo by Ron Sachs-Pool via Getty Images)
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アメリカのオバマ大統領は10月15日、2016年末までにアフガニスタンに駐留するアメリカ軍を完全撤退させる計画を断念し、2017年移行も5500人の駐留を継続させると表明した。

オバマ大統領は政策を転換する理由として、現地の状況を見るとアフガン軍の治安能力は不十分で、アメリカのアフガン駐留軍を段階的に削減する「規模の小さい、有意義な計画の変更」と述べた。

ホワイトハウス高官のリサ・モナコ大統領次席補佐官(国土安全保障・テロ対策担当)は15日、電話で報道陣の取材に応じ、オバマ大統領の今回の方針転換について「アメリカの戦略がアフガニスタンで機能している証だ」と述べたが、ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は「アフガニスタンでは対テロ対策として軍事的手段を用いることはない」と述べた。

リサ・モナコ大統領次席補佐官(国土安全保障・テロ対策担当)

モナコ次席補佐官の電話取材は、オバマ大統領の会見の直後に行われた。モナコ次席補佐官はアメリカ軍の駐留継続について、対テロ作戦とアフガン軍の訓練に焦点を絞ることになるだろうと述べた。

AFP通信の記者が、こうしたアメリカ軍の任務が、アフガン戦争が開始された2001年以来14年間かけても不十分だったのに、今後数年間で本当に達成できるのかと尋ねた。

モナコ次席補佐官は「その前提には同意できない。言ってみれば、これまで任務が完了したと考えている人はいないと思う」と述べ、駐留継続は短期間にならないことを示唆した。

アーネスト報道官は、大統領が今後も対テロ対策とアフガン軍の訓練の継続に焦点を絞ることについては、実際には良い兆候であると語った。

ジョシュ・アーネスト報道官

「大統領はこうした作戦を拡大させることを望んでいるし、今後もこの戦略が実際に機能し、進捗しているのを確認する指標とすることを望んでいる。大統領が本日、政策を劇的に変換させることを公表すれば、私たちが望む事態に進展しているのかどうかという疑問が起き、より議論を巻き起こすだろう」と述べた。

もちろん、大統領は実際に方針転換を公表した。これまでは、アフガニスタンの首都カブールにある大使館の警備要員などを除いて駐留アメリカ軍を完全撤退する計画だった。

ニューヨーク・タイムズのピーター・ベイカー記者はモナコ次席補佐官に、今回のアメリカ政府の決断はイラク撤退後の混乱から学んだことを反映したものではないかと尋ねたが、モナコ次席補佐官はこれを否定した。モナコ次席補佐官は、イラクとアフガニスタンの違いは、イラクには、友好的で有能な政府が存在せず、イラク政府はアメリカ軍の駐留を求めていなかったが、アフガニスタン政府は望んでいたと述べた。

モナコ次席補佐官は、対テロ作戦がどれだけ実行されるかは詳細な説明を避けた。ハフポストUS版の記者は調査報道サイト「インターセプト」が15日発表したレポートを引用して、ドローン(無人爆撃機)の空爆で巻き添えを食った犠牲者は、当初見込んでいた死者数よりもはるかに上回っていたことが判明して批判が起きていることを踏まえ、ドローンの攻撃計画は今後どれほどの規模で行うのかを尋ねた。

アーネスト報道官は「大統領が、世界中の対テロ対策をできるだけ透明性を高めて政策を決定しようとしているのは明らかだ。そして実際に、対テロ作戦では一般市民の犠牲を食い止めるためにどんな苦労も惜しまないようにしている」と述べたが、質問にははっきりと答えなかった。

アーネスト報道官はさらに、アメリカがアフガン軍の訓練を強化させるにつれて、アフガニスタン国内での戦闘を食い止められるだろうと述べた。

「アフガン軍の強化は、アフガン国内に駐留するアメリカ軍やNATO軍を削減させるため、アフガンの戦力にアメリカ軍やNATO軍駐留と同様の効果をもたらす。それは、アメリカ軍がいかなる状況でも一般市民に影響を及ぼすことを減らすためのものでもある」

アーネスト報道官はさらに、アメリカ軍駐留継続には利点がある、と付け加えた。その理由として、対テロ対策は長期的には機能しなくなるからだという。

「最終的には、大統領も本日用意された声明でアメリカや他の各国は、対テロ作戦に関しても、アフガニスタンを悩ます問題を軍事的手段で解決させるつもりはない、ということを認める」とアーネスト報道官は述べた。「そういった理由から、大統領は現在進行している仲裁のプロセスを前進させる必要性をはっきりと言及する」

「インターセプト」の調査レポートには、2011年から13年にかけてアフガニスタンとパキスタンの国境にあるヒンドゥークシュ山脈にいるタリバンやアルカイダ戦闘員の掃討を行った「ヘイメイカー作戦」についても触れられている。これはアフガニスタン北東部で行われた緻密で広範囲に及んだ対テロ作戦だったが、標的となっていなかった人々を数多く殺害する事態となった。5カ月間で殺害された人々のおよそ90%が、アメリカ軍の直接の標的となっていなかった。「ヘイメイカー作戦」の3年後、タリバンはアフガニスタン北東部の主要都市クンドゥズを一時的に制圧した。アフガン軍は奪回したが、アメリカ軍とアフガン軍による爆撃で国境なき医師団のスタッフ12人と子供を含む患者の少なくとも10人が死亡し、国際的な批判を浴びた。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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