アフガニスタン・カンダハル飛行場の上空を飛行するアメリカの無人攻撃機(ドローン)。2010年1月31日に撮影。ドローン爆撃は「イチかバチかのギャンブル」だとインターセプトは報じている
アメリカが中東で繰り広げる無人機(ドローン)による攻撃には、非難の声が集まっている。ドローンによる攻撃はテログループの指導者たちを殺害するために必要だとアメリカは主張し、攻撃を続けている。しかし、アメリカのニュースサイト「インターセプト」が新たに発表した資料から、「殺害の標的」としてドローンによる攻撃で殺された人たちの中には、本来の標的よりはるかに多い数の民間人が含まれていることが明らかになった。
レポートでは、アフガニスタンで最近行ったドローン攻撃による死者の90%近くが攻撃の標的ではなかったと伝えている。
アフガニスタン北東部で行われているアメリカの特殊軍事作戦「ヘイメーカー作戦」の詳細を伝えた資料によれば、2012年1月から2013年2月の間に、200人以上が空爆によって殺害されたが、そのうち標的はわずか35人だった。また、ある5カ月の間に空爆によって死亡した人のうち、90%近くが標的ではなかった。イエメンとソマリアでは、死者が標的だったかどうかを確認するための諜報能力がもっと低いため、標的以外の死者数の割合はさらに高いかもしれない。
レポートは、各国政府の情報機関をまとめる「インテリジェンス・コミュニティー」が公表した機密文書を基にまとめられたものだ。ドローンの攻撃で民間人が死亡したことを伝える多数のニュース記事が、レポートの裏付けとなっている。2009年以降、アメリカがドローン攻撃でアフガニスタン、パキスタン、イエメン、ソマリアの大勢の市民を殺害してきたことがわかる。
イエメンでは2013年12月に、結婚式から帰る途中だった14人の人たちがドローンによる攻撃に遭って死亡した。政府当局者が、犠牲者の車をアルカイダの車と勘違いしたのが原因だ。またパキスタンでは、親がドローンの攻撃を恐れて、子どもたちを学校に行かせないようになっているという。
9.11以降、アメリカ政府はテロ対策とアルカイダやタリバンへの報復を理由に、標的を定めた攻撃を実施してきた。オバマ政権下ではドローンが多用されているが、多くの民間人が犠牲になっており、作戦の不透明性が批判されている。しかし、オバマ大統領はドローン攻撃を繰り返し擁護してきた。2013年には「我々が標的とするテロリストは、一般市民を標的としている。彼らのテロ行為によって死亡するイスラム教徒の数は、ドローン攻撃による一般市民死者の推定数よりはるかに多い」と発言している。
パキスタン・ペシャーワルでアメリカのドローン攻撃に反対する抗議デモが行われた。2011年4月23日撮影
アメリカの政府当局者は、ドローン攻撃は正確で一般市民を傷つけることはほとんどない、と主張する。しかし、1人の標的を殺害するつもりでも、周囲の人を殺害したり、負傷させる危険がある。
「犠牲になった人は、その場にいたから巻き添えになったんです」と資料の情報筋は話している。「ドローンで攻撃すれば、当然複数の人が死にます。誰が死ぬのかなんてわかりません。ドローンによる攻撃は、イチかバチかのギャンブルなんです」
インターセプトのレポート全文はこちら。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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