無脳症の赤ちゃんに起きた奇跡。1歳を迎え、父が心境を綴る「可能な限り最高の人生を」

「ジャクソンと一緒にいた毎日、それも生まれた時から、僕たちには小さな希望の光が見えていました」

フロリダ州に暮らす父親ブランドン・ブエルさんは、重い障害を持った子どもを育てる大変さと喜びを知っている。よちよち歩きを始めたジャクソンちゃんは、頭蓋骨と脳の大部分が欠損した状態で生まれた。小水無脳症と呼ばれる稀な病気によるものだ。しかし、驚きの回復力を持ったこの小さな男の子は、Facebookページ「ジャクソン・ストロング」を通じて、世界中の人に感動を与え続けている。

「生まれてからの3週間、まだ僕たちはジャクソンと一緒に新生児集中治療室にいて、どうなるのかほとんど分からない状態にあったのですが、医者からは最悪の事態に備えておくように、そして『緩和ケア』のためにジャクソンを家に連れていく準備をしておくようにずっと言われていました」とブエルさんはハフポストUS版に話した。

「医者は、こんなに長く生きられるとはまったく思っていなかったのです」ブエルさんは続けた。「ですが、ジャクソンと一緒にいた毎日、それも生まれた時から、僕たちには小さな希望の光が見えていました。その希望の光は日に日に大きくなっていきました。彼の中にあったその希望と日頃からの彼の頑張りから、「ジャクソン・ストロング (強い子ジャクソン)」というニックネームが自然と付きました」

ジャクソンが1歳1カ月になる前の晩、ブエルさんはフェイスブックに長文のコメントを投稿して、ジャクソンの成長、そして家族が日々ぶつかる困難や誤解について書いた。

Overdue and honest words from Jaxon’s Daddy… As I write this, my son is sleeping in the other room, comfortably,...

Posted by Brandon Buell on 2015年9月26日

「すべてがどうやって始まったのかや自分たちの今の状況を考えないことは難しいです。一番大事なことは、ジャクソンがまだ僕らと一緒にいること、まだ学んでいること、まだ成長していること、まだ元気でいることです。ジャクソンは僕らに笑い返してくれます。朝、目が覚めるといつもとてもうれしそうにして、ママとパパの顔を代わる代わる見て、新しい1日がまた始まることに興奮しているようです」とブエルさんは綴った。

ブエルさんは、ジャクソンちゃんやブエルさんたち両親に対する世間の公の場やネット上での反応についても話題にした。ジャクソンが1歳の誕生日を迎えた画期的な出来事が起きた9月には多くのメディアで取り上げられ、Facebookページでは「いいね!」が20万を超えていた。「ジャクソン自身や、僕ら家族、そしてジャクソンにまつわる話で完全に誤解されていることが多くありました。僕らの赤ちゃんに関して他の人の意見を耳にしたり目にしたりして困惑しました。ジャクソンに一度も会ったことのない人、何らかの形で知っている人が、ジャクソンがどういう風に考え、どういう風に動き、どういう風に感じ、どれほどのことを自らできるのか、どういう痛みがあるかに関する意見がありましたし、僕らを、中絶を選ばなかった、Facebookでクラウドファンディングを募る自己中心的な親だという意見もありました」

「たいていの人は、閉ざされた扉の向こうでジャクソンと僕らが経験する喜びや努力を知ることはないでしょう」とブエルさんは続けた。ジャクソンがまだお腹にいる時の彼の状態や家族の決断の過程、そして以前の同僚が、ジャクソンの親族に彼の成長を知らせるために作ってくれたFacebookのクラウドファンディング「GoFundMe」ページの裏話を、隠すことなく綴った。

「ジャクソンがこんなに強い子であることを誇りに思います。彼の生き様、またそれが多くの人に感動を与えたことを誇りに思います。どれほど多くの人の人生にジャクソンが触れ、そしてまた、数え切れない人や団体、メディア、大勢のファンを抱える著名人が接触してきてくれたり、ジャクソンの人生にスポットライトを当てたり共有してくれたかを考えると頭が下がります」とブエルさんは加えた。

ブエルさんのフェイスブックの投稿は、600回以上シェアされている。ブエルさんはハフポストUS版に、この長文投稿は、ジャクソンの話題が広まるにつれ自らが直面した誤解を解くために書きました、と語った。「僕は父親として、あることをはっきりとさせたかったのです。つまり、ジャクソンはまだ元気で、発達中で、学習中で、とってもかわいくて愛情にあふれた幸せな男の子で、そして、人やおもちゃ、音楽、そして本を認識して反応することができるという共通認識をみなさんに持ってもらうことです」とブエルさんは話した。

ジャクソンの話題に対する反応には否定的なものや批判的なものもあるが、ブエルさんは、全般的には協力的で謙虚で素敵な反応だという。

大変な日もあるが、ブエルさんの言うにはジャクソンは、家族にとって「贈りもの」そのものだそうだ。この言い回しをブエルさんは、特別な支援が必要な子ども達の親が何百人となく使うのを耳にしてきた。「僕らと同じ体験をしなければ、根拠や正確な情報なしに安易に決めつけてしまうけれど、今の生活は信じられないほどに意味のあることです。そして今は、共感してくれて、素晴らしく協力的な親が集まった大きなコミュニティがあります」とブエルさんは話した。

ブエルさんが言うには、ジャクソンちゃんの話題は強力なサポートを生んだだけではなく、医学界にも貢献する可能性が出てきたようだ。というのも、神経学者のトップらがこの予想だにしなかった例に興味を示しているからだ。「みなさんが何を信じようとも、あるいは、僕らの話やジャクソンをどういう風に捉えようとも、ジャクソンの存在には多くの場面で意味があるのです。ミラクル、希少、恩恵、何と呼んでくれても構わないけれど、ジャクソンにできること、そして、病気を患い、疑いの目や困難に直面しながらも生きる彼の姿は素晴らしいとしか言いようがありません」とブエルさん話した。

妻のブリタニーさんと一緒にブエルさんは、同様の病気に苦しむ家族を助ける団体に恩返しすることを誓った。究極的には、ジャクソンの幸せが最優先事項とのこと。

「僕らが主に目指すのは、ジャクソンが幸せであり、心地よくいられること。そして、可能な限り最高の人生を送ってもらうこと。ジャクソンとの時間の大切さを誰よりも理解しています。僕らは広い視野を持ち続けます。そして、将来何が起きようとも、ジャクソンは素晴らしい価値と感動を世界にもたらすと思っています。ジャクソンはすでに多くの人の人生に触れてきました。これ以上誇りに思うことはありません」とブエルさんは綴った。

ジャクソン・ブエルさんに関する情報はFacebookページ「ジャクソン・ストロング」を参照。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。