環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が10月5日、大筋合意に達したことを受け、外食チェーンでは国産より価格が安い海外産の農作物の利用を検討する動きが出ていることが報じられた。回転寿司チェーン大手の「くらコーポレーション」では、カリフォルニア州産のコメの利用を検討する余地があるとしている。NHKニュースは以下のように伝えている。
「くらコーポレーション」の辻明宏広報担当マネージャーは「カリフォルニア米は品質がよくなっていると聞くので、もし、値段が安く、いま以上に品質の高いものが手に入るのであれば検討の余地がある」と話しています。
また、すしのネタに使う魚介類についても、関税の引き下げで調達コストが下がれば、TPP参加国からの魚介類の仕入れを増やすことなども今後あり得るとしています。
(TPP 回転寿司チェーン 米国産コメの利用検討も NHKニュースより 2015/10/6 16:08)
くらコーポレーションの公式サイトによると、くら寿司は9月18日現在、シャリには滋賀県・宮城県・北海道・福岡県・山形県で採れたコメを利用している。
日本はアメリカとの2国間協議で、コメの関税は維持する一方、年間7万トンの特別輸入枠を新たに設けることで合意。これまでの77万トンの輸入枠のなかでも、アメリカからの輸入が多い品目の割合を増やし、実質的にアメリカ産のコメの輸入拡大につながる措置を導入することとした。
8月現在、国産のコメの相対取引価格は1kgあたり198円。一方で、NHKニュースによるとアメリカ産のコメは現地価格で107円とされ、90円以上開きがある(ただし、為替などの影響があり、実際の価格差は異なる)。
コメの流通量が増えて価格が下落することを懸念し、政府は輸入分に相当する国産米を備蓄米として買い上げる方針を明らかにした。しかし、買い入れや管理の費用が増えることになり、財源の確保が課題という指摘もある。
一連の報道に対し、Twitterからは「外食とか弁当とか海外のコメだらけになりそう」「“食べて応援”は何処へ」など、コメの特別輸入枠に批判的な意見のほか、「高い国産が生き残れるかは消費者の選択次第」「味次第ですね」などの意見も出ている。
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