安倍晋三首相は9月30日未明(日本時間)、国連総会の一般討論演説で、シリア・イラク難民の問題について、約8億1000万ドル(約972億円)の経済支援を実施する方針を表明した。
演説後の記者会見では、外国人記者が、9月24日に安倍首相が発表した「新・3本の矢」とする経済政策について質問したあと、「シリア難民問題への追加の経済的支援を表明したが、難民の一部を日本に受け入れることは考えていないか?」と質問した。
安倍首相は「新・三本の矢」について説明して「新たな三本の矢を全力で放ち、新たな国造りを進めて参りたい」と述べた後、シリア難民問題への答えに移り、以下のように答えた。
「そして今回の難民に対する対応の問題であります。これはまさに国際社会で連携して取り組まなければならない課題であろうと思います。人口問題として申し上げれば、我々は移民を受け入れる前に、女性の活躍であり、高齢者の活躍であり、出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手があるということでもあります。同時に、この難民の問題においては、日本は日本としての責任を果たしていきたいと考えております。それはまさに難民を生み出す土壌そのものを変えていくために、日本としては貢献をしていきたいと考えております」
ロイター通信は会見の内容を「安倍首相、シリア難民受け入れより国内問題解決が先」とのタイトルで報じた。
イギリスのガーディアンは「人権団体は、ロシアやシンガポール、韓国と並び、日本は高所得の国なのに、第2次世界大戦以降で最悪の難民問題に手をさしのべることに失敗していると強調している」として「日本は昨年、1億8160万ドルを国連の難民対策部門に支出し、アメリカに次いで2番目に多いが、シリアや他の難民受け入れは、その経済規模に見合っていない。日本で難民資格を申請している60人のシリア人のうち、認められたのは3人であり、約30人は人道上の理由で長期滞在が認められているだけだ」と指摘した。
一方で、ガーディアンは、「日本の人口は今後、劇的に減少し、専門家は経済の衰退を予測しているが、移民受け入れを現実的な解決策として主張する政治家は少ない」とも伝えている。
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