過激派「中核派」の活動家の男2人が、東京都江戸川区の拠点「前進社」でメンバーの男性を監禁して屋上から転落させたとして警視庁に逮捕された。2人は黙秘しているという。9月29日、朝日新聞デジタルなどが報じた。
毎日新聞によると逮捕容疑は5月3日夜から5日間にわたり、同派元活動家の20代男性を前進社内の会議室に監禁し、結果的に5階の屋上から転落させた疑いがある。男性は屋上の雨どいを伝って逃げようとしたが足を踏み外して転落。その様子を警戒中の警察官が目撃していた。男性は頭などを打ち、一時意識不明の重体となっていた。
男性は監禁中、中核派内の情報を警察やマスコミに漏らした疑いがあるとして自己批判を迫られていたという。警視庁では、組織内で「総括」と称した暴行が行われていたとみて調べている。
「総括」という言葉は1971年に左翼団体の「連合赤軍」が群馬県下の山中に潜伏していた際のリンチ事件で有名になった。このとき、メンバーで不適格者と判断された者を「処刑」又は「総括」の名の下に、アイスピックで突き刺す、ロープで首を締める、あるいは酷寒の屋外の立木に縛り付けて凍死させるというせい惨なリンチを加えて、総勢29人のうち12人が殺害された。
■中核派とは?
「中核派」は、マルクス・レーニン主義を信奉する新左翼団体。正式名称は「革命的共産主義者同盟全国委員会」(革共同)。革マル派、革労協と並ぶ3大組織の一つだ。
武装闘争路線を捨てた日本共産党に対抗して、1957年に結成された。もともと革マル派と同じ組織だったが、60年安保闘争からまもない1963年に分裂した。中核派の最高指導者、本多延嘉氏が1975年に革マル派に殺害されたことで、1970年代以降は同派と血で血を洗う壮絶な「内ゲバ」を展開。多くの死者が出ていた。
成田空港の建設反対闘争などに絡んで、爆弾テロなどを起こす過激な活動で知られたが、激しい内ゲバや社会情勢の変化で、活動家の減少や高齢化が進み、衰退の一途をたどってきた。
今回の事件で逮捕された活動家も、28歳と32歳という若年層。2011年の東日本大震災以降は、反原発闘争やサークルを装った学生勧誘などが奏功して若者のメンバーも目立っているという。
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