集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法案は9月19日未明、参院本会議で採決が行われ、自民、公明両党と次世代の党などの賛成多数で可決、成立した。
今国会の会期末である27日まで、1週間以上残しての採決となったが、19日から大型連休に突入することもあり、与党はその前に採決を行いたいとしていた。
民主党は安倍内閣の不信任案を衆院本会議に提出したが、与党の反対多数で否決。参院本会議で平和安全法制特別委員会の鴻池祥肇委員長(自民)への問責決議案が与党の反対多数で否決された。与党は延会手続きを取り、19日午前0時10分に参院本会議を再会。各党討論の持ち時間を15分とする動議を可決し、民主、自民、維新、公明、共産の討論を経て法案の採決に入った。
安全保障関連法案に反対し、国会前に集まった人たち=18日午後、東京・霞が関
■SEALDs 奥田愛基さん「民主主義は終わらない」
国会前には法案の採決に反対する人々が集まり、「戦争法案、絶対廃案」「安倍は辞めろ」「野党は牛歩」などとシュプレヒコールをあげた。主催者によると、午後7時現在の参加者は約4万人以上。警察関係者の話では、午後8時の時点で1万1千人だった。
作家の落合恵子さんはデモの参加者に対し、「今日から新しい戦いが始まることを心に刻みましょう」として、次のように語った。
「私たちの民主主義を奪うものたちに、心から今、戦いますの気持ちを広げていきましょう。忘れないで下さい。私たちの父や母や、そのまた父や母が、一生懸命、育ててきた民主主義なのです。一部のあいつらのために、踏み潰されてたまるもんか。
政権与党はもとより、次世代、元気、改革のすべての議員を落としましょう。あいつらが全てを破壊した。民主主義のテロリストなんだ。あいつらを越えていこう。そして誰も犠牲にしない社会をつくっていこう。今日から新しい戦いが始まるぞ」
落合恵子さん
また、法案に反対する学生団体「SEALDs」の奥田愛基さんは、5月から毎週、国会前に立って繰り返し話してきたという内容を改めて紹介。「憲法違反で政策的にもめちゃくちゃなこの法案は、廃案しかない。そして、どんなことがあっても、民主主義は終わんないんだ。主権在民という言葉が信じられるんだったら、もう一回、何かできるでしょう? 絶対あきらめねーぞ!」と語った。
SEALDsのメンバー
■小熊英二さん「何の始まりかは、私たちが決めていかなければいけないこと」
慶応大学教授で歴史社会学者の小熊英二さんは、この日にアメリカ人の友人から受け取ったメールの内容をスピーチ。「アメリカでもデモはよくあるが、日本の人々のいきいきした表情をみて、これは何かの終わりではない、何かの始まりなのだと思った」と書かれていたと話した。
このメールに対して小熊さんは、「確かに何かの始まりだろう。しかし、何の始まりなのか。それは、日本に生きている私たちが決めなければいけないことだ」と返答したとしたうえで、震災前には社会運動が起きるなんて思われていなかった日本は、変わったと強調した。
「国会の周辺が人で埋まるなんて、日本ではありえないことだと思われていたし、自分たちも思っていた。
しかし、確実に日本社会は変わりました。その変化は決して、黙ったまま自然に起きたのではない。ひとりひとりが動いて、声を上げて変わった。自分が動くことによって、初めて変わった。自分が動かないと変わらないと、ひとりひとりが学んだ。
私たちは今、始まりの中にいます。何の始まりかは、私たちが決めていかなければいけないことです。これからプラスの可能性も、マイナスの可能性にも動く。少しでもプラスの可能性の方にいくよう、努力してつくっていなければなりません。
民主主義って何だ? (これだ)
民主主義って何だ? (これだ)
民主主義って何だ? (これだ)
今、自分がおっしゃったことを、みなさん忘れないで下さい」
小熊英二さん
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