参議院での審議が大詰めを迎えている安全保障関連法案に反対する大規模な集会が9月14日夜、国会前であり、主催する「行動予定 | 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動」によると約4万5000人が集まった。
学生団体「SEALDs」に招かれてスピーチした元陸上自衛官の泥憲和さんは、豪雨による鬼怒川などの決壊で災害救援にあたった自衛隊員の活躍を讃え「遠い外国で人殺しするために自衛隊に入った人なんていない」と訴えた。
「議員会館である集会に参加してきました。自衛官の人権を守る集会です。私ね、びっくりしました。自分が自衛隊いたとき、自衛官は大学に来るな、学ぶ権利はない、お前たちに人権はないと言われていたのに、なんて日本の民衆の人権感覚は深く広くなったんだろう。本当にびっくりしました。嬉しくて嬉しくて。
私が自衛隊にいたとき、ベトナム戦争の真っ最中でした。全国で反戦デモがあふれてました。私たちは教官に教えられました。『自衛隊なくせ』という国民をも、有事の際は命をかけて守るんだ。だから自衛隊は崇高な使命なんだ。ところが今、安倍総理は、その自衛隊をとんでもないものに変えようとしています。遠い遠いアフリカに行って、外国軍と一緒になって、縁もゆかりもない国々の人々をもしかしたら自衛隊が殺すかもしれない。
大洪水あったじゃないですか。陸上自衛隊、災害派遣の隊員たちが一生懸命、市民を救出していました。あれが自衛隊の姿ですよ。ああいう仕事がしたくて自衛隊という職業を選んだんです。遠い遠い外国で人殺しするために自衛隊に入った人なんていませんよ。ところが自衛官は政治的活動に関与してはならない。自分では声を上げられません。だから私たちOBが現役に成り代わって彼らの胸の内を語らなければならないと思っています。
この前、国会で自衛隊の秘密文書が出てきたじゃないですか。24万7000人いる自衛隊で、たった350人しか出席できない会議だったんですよ。そこで配られた資料ですよ。エリート中のエリートからリークされました。リークがばれたら一生台無しですよ。守秘義務違反で刑事罰が下ります。懲戒免職されたら退職金もない。自衛隊関係者内での信用もなくなる。だけどそのリスクと、日本が戦争に手助けしていくリスクを天秤にかけたら、やっぱり俺の人生をかけるときだと思ってリークしてくれた幹部自衛官がいたということですよ。この決意を引き出したのは皆さんのこの集会、デモです。本当に感謝します。
安倍総理は、日本は国際貢献が足りないと言うでしょう。じゃあ国連常任理事国がPKOにどれだけの兵隊を出しているか、国連資料で去年の数字が上がっています。ドイツ204人、イギリス280人ぐらいです。自衛隊は250人近く出しています。もう西側先進国並みの貢献はちゃんとしてるんですよ。アメリカは去年1年間、113人しか出していない。自分の勝手な戦争には何万人も送り込むアメリカですけど、国連が頼んでも、たった113人しか出さない。そんな国なんですよ。そのアメリカが自分たちのする戦争「低強度戦争の軍事戦略」という教科書があります。いちばん初めに「テロとの戦いは、アメリカの国際的利益を推進するためだ」と書いてあります。自分の都合でやってるんですよ。何もテロから世界を守るんじゃない。こんなアメリカと自衛隊が一緒になって海外に出ていったらどんな使い方されるかわからない」
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