アメリカ・カリフォルニア州の議会で9月11日までに、安楽死・尊厳死を合法化する「死ぬ権利」法案が可決した。末期患者が医師の処方で命を絶つことを認める法案となる。
カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事が法案に署名すれば、オレゴン、ワシントン、モンタナ、バーモント、ニューメキシコの5つの州に続き、安楽死・尊厳死が合法化される6番目の州となる。
「終末期の選択の自由」決議は、9日、州の下院議会を通過した。この決議は患者に「自殺幇助の選択肢」を求める権利を認める。2人の医師から余命6カ月未満の宣告を受け、少なくとも15日後に要求書を作成するとともに患者自らが口頭で2回要請すること、そして自分で「死ぬ権利」の選択を決める能力があることが条件になる。
政治家になる前にキリスト教のイエズス会の神学校に通っていた経歴を持つブラウン知事は、法案成立のために署名するかどうか、態度を明らかにしていない。
「死ぬ権利」法案は、末期の脳腫瘍患者だったブリタニー・メイナードさん(享年29)が尊厳死を選択したことがきっかけで上程された。サンフランシスコのベイエリアに住んでいた彼女は2014年1月、脳腫瘍の診断を受け、3月にはそれが多形性膠芽腫という悪性のがんで、余命6カ月と宣告された。メイナードさんは「私は2014年11月1日に死にます」と尊厳死を選択することを公表し、カリフォルニア州から、尊厳死が合法化されているオレゴン州に移り、11月1日、自宅で医師から処方された薬を服用して死去した。
「自分の家、自分のふるさと、そしてカリフォルニアにいる友だちと離ればなれになるのはとても悲しいことです。しかし私は死ぬことを選び、自分の尊厳が失われることを拒否します。不治の病のせいで、自分自身や家族が目的もなく、長い間苦痛を強いられたくないのです」。メイナードさんは死の数週間前、彼女を支持する議員が撮影した動画メッセージでこのように述べた。「苦痛からまぬがれるために、そして穏やかな死を計画するのに、安心できる自分の家やふるさとを離れるようなことはあってはならないのです」
メイナードさんはまた、死の直前、ブラウン知事に電話で尊厳死を認めるよう働きかけていた。
8月18日、カリフォルニア州サクラメントで死ぬ権利法案の再提出を発表する記者会見でブリタニー・メイナードさんの母デビー・ジグラーさんがメイナードさんの遺影を抱えている。RICH PEDRONCELLI/ASSOCIATED PRESS
「死ぬ権利」法案は2015年初頭にカリフォルニア州議会に提出され、当初は採決まで進むかに見えた。反対を表明していたカリフォルニア州医師会が撤回したことで法案は採決に向けて大きく前進し、6月4日、州の上院を通過した。しかし下院議会での採決前に、カトリック教会や障害者の権利を支援する団体らが反対したことを受け、法案は委員会で廃案にされた。
8月、「死ぬ権利」法案を支持する政治家たちによって医療に関する特別議会で再提出され、議会で延長の議決を行わない限り、10年で法案が廃止されるサンセット条項(廃止期日を明記する法律の条項)が追加された。法案は議会で審議される前に委員会で賛成10、反対2で通過した。
法案の命運はブラウン知事にかかっている。ブラウン知事は10月11日までに法案に署名するか、拒否権を発動するかの選択を迫られる。知事が署名すれば、2016年から施行される。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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