2520億円の建設費をめぐって白紙撤回となった新国立競技場の問題で、撤回された案のデザインを務めた、ザハ・ハディド氏の事務所が8月26日、ビデオメッセージを公開した。ゼロベースでの見直しは危険だと訴えている。
ザハ氏は冒頭、「2年から3年間の大変多くの時間が費やされた。重要なことは、これはオリンピックの先を大きく見据えた仕事だ」とし、時間をかけて作られたザハ氏の案の優位性を訴えた。
動画では23分にわたって詳細にザハ案の設計が、厳しい敷地条件の元、綿密に積み上げられたものであることを主張。2520億円に膨らんだ建設費は、座席数や座席空調の削減と、スタジアムの外側の構造変更で削減できるとしている。
また、建設費が膨らんだのは設計が決まる前に施工業者を指定し、競争環境がなかったためと従来の主張を展開。さらに、価格を下げるために2万席を仮設にする提案をしたところ、却下されたとも述べている。
ビデオでは最後に、ゼロベースでの見直しを批判。「すでに高い品質のデザインが存在し、新しい予算に合わせて変えることができるのに、こんなに見通しが不確かな中、新整備計画はなぜ、すべてにおいてリスクを犯そうとするのでしょうか」と結んでいる。
同時に発表された声明全文は以下の通り。
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ザハ・ハディドアーキテクツは新国立競技場の工事費を抑え、価格に見合った質、耐久性を持ち、サステイナブル(持続可能)な建物にするための新しい入札方式を喜んで受け入れます。
このプレゼンテーションはこの特別な東京の敷地において最もコンパクトで効率の高いスタジアムとするために、過去2年間に渡って十分に検討された新国立競技場の設計概要を詳しく説明したものです。
ザハ・ハディドアーキテクツと日本の設計事務所が共同でデザインを手がけた新国立競技場は、私達チームの持つ過去のオリンピック、ワールドカップそして国際大会を開催する様々なスタジアムの設計を通じて得た知識と経験を全て活かしたものです。
日本の国民と政府が、過去2年にわたって現在のチームにかけた時間、努力そして投資を有効に使えば、2020年のオリンピック・パラリンピックに先んじて2019年には世界の観客を日本に迎えるために新国立競技場の完成が可能です。そして将来幾世代にも渡り、日本のアスリート達とスポーツ愛する人々にとっての新しいホームとなるでしょう。
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