社会貢献をしながら会社の利益を増やすのは難しい、と考えるのはもう古い。むしろ、企業が成功する秘訣は「持続可能性」(サステナビリティー)や「社会の利益」を追い求めることにあるという。
現在、「持続可能な製品」で年間10億ドル以上を売り上げる企業が世界に少なくとも9社ある。具体的には、テスラ・モーターズの電気自動車や、トヨタ自動車の「プリウス」、ナイキのスポーツシューズ「フライニット」、ゼネラル・エレクトリックのクリーンエネルギープロジェクト「エコマジネーション」だ。
食品分野では、自然な方法で育てた家畜の肉を使うファストフード・チェーンの「チポトレ・メキシカングリル」や、全国的なスーパーチェーンとしてはアメリカで初めて、オーガニック小売事業者の認定を受けた「ホールフーズ・マーケット」も大きな成功を収めている。
また、パーソナルケア製品を手がけるユニリーバも、持続可能な農業で作られた天然由来成分を、全製品に使うことを目標にしている。
こういった製品の売上を合計すると年間1000億ドルを上回る。これは世界で62番目に大きい経済圏に匹敵する規模だ。
持続可能性を専門とする戦略系コンサルティング会社「フューテラ」のCEOフレイア・ウィリアムズ氏によれば、こうした企業は競争相手よりも速く成長するだけでなく、利益率も大きい場合が多いという。
別のコンサルティング会社「ポイント380」は、こうした企業は株主へのリターンが多いと分析する。彼らは、仮に「持続可能な製品を作る10億ドル企業」9社に2010年6月に1000ドルを投資していれば、2015年の3月までにその投資金は3251ドルになっていたと計算する。一方で、1000ドルを従来型の企業に投資した場合、投資金は1932ドルだ。
ウィリアムズ氏は、もっと多くの持続可能性を重視する企業が、10億ドル企業の仲間入りをするだろうと考えている。
有力候補は、「最も革新的な企業ランキング」でアップルを抑えて1位となった眼鏡店「ワービー・パーカー」、空部屋シェアサイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」、女優のジェシカ・アルバが経営する生活用品ブランド「オネスト・カンパニー」、ジョージタウン大学の学生3人が2007年に始めたサラダのチェーン店「スイートグリーン」、アウトドアブランドの「パタゴニア」、洗剤メーカー「メソッド」といった企業だ。
売上10億ドルの壁を突破する企業を設立する可能性はわずか0.00006%と指摘するウィリアムズ氏は、新著「グリーンな巨大企業(Green Giants)」のなかで、成功する企業について次のように述べている。
「こうした企業は、単なる環境志向の企業でもないし、正体のよくわからないB2Bのサプライヤーでもない。最も活動的で魅力ある企業だ」
「彼らは大企業と競争しようとしたりはしない。彼ら自身が大企業であり、将来も大企業であり続けるだろう」
ウィリアムズ氏は、9社が「持続可能な製品を作る10億ドル企業」になったのには、次の6つの秘訣があると述べている。
- 慣習を破るリーダー:9社で「持続可能性な製品」を追求する取り組みを始めたのは、新しい考えをもった一人の勇気あるリーダーだった。
- 破壊力のあるイノベーション:既存の製品をただ改良するのではない。新しい考えで現状を打ち破る。
- 高い目標:「明確な目標を持てば、大きな利益が得られる」。9社はこの逆説的な考えを実証してきた。その逆はほとんどない。
- 本質:こうした企業では、持続可能性は会社の「本質」だ。デザインから財務まで、すべてが持続可能性を基に設計されている。「持続可能性担当部署」がお飾り程度に設けられているような会社では、大きな変化を引き起こすような動きは起きない。
- 主流へのアピール:環境ビジネスの多くが失敗している理由は、消費者の倫理観をあてにして、低水準の製品を提供するからだ。成功している企業は、他社よりも優れた革新的な製品を生み出している。
- 有言実行:企業の評判は、広告やPRではなく、実際の行動によって決まる。大きな変化に必要なのは、透明性、責任感、協力だ。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:梅田智世、合原弘子/ガリレオ]
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