安保法案に反対する大学生が、国会前で断食による抗議「ハンガーストライキ」を決行する。ハンストを実行する一人は8月20日、ハフポスト日本版の電話取材に「自衛官の友達がいる」と話した。
(左)井戸敬さん、(右)元木大介さん
取材に応じたのは、専修大の元木大介さん。法学部に通う4年生だ。
「もともと社会運動に興味はありませんでした。大学2年の時、たまたま沖縄に旅行に行ったのですが、そこで沖縄戦や基地問題のことに触れたんです。自分が全く知らないことばかりで、このまま問題を見ないふりをして過ごしていていいのかと、漠然と思いました」
この旅行がきっかけで、沖縄問題を研究するようになったという元木さん。しかし、何か社会運動をするわけでもなかった。2014年に特定秘密保護法に反対するデモが行われているのをテレビで見て、一人でぶらっと出かけてみたことくらいしかしなかったという。
「今回ハンストを行なうきっかけになったのは、2015年5月に学校で行った辺野古の研究発表でした。そこで他の大学の人と知り合い、もう一度どこかで議論しようかという話になったんです」
そのとき出会ったメンバーが知り合いの学生を集め、今回ハンストを実施する「安保関連法案制定を阻止し、安倍政権を打倒するための学生ハンスト実行委員会」の呼びかけ人となった。メンバーの中には、脱原発を考える人もいれば、沖縄に関心がある人など、課題意識もバラバラだという。しかし、安保法案に関しては皆、このままではいけないと思っていた。
「若い人たちも、何かしなくてはいけないと感じていました。法案が成立してしまったら、実際に行くのは若い世代の人たちなんです。今、反対しないと、行動しないと、と思いました」
しかし、ただデモなどで声を上げるだけでは間に合わないと感じた。7月には衆院で法案が成立し、参院での成立が目前だと報じられていた。より効果的に訴えられる方法がないかを探り、国会前での座り込み案などもでたが、8月の会合で最終的に行き着いたのがハンストだった。「非暴力・不服従」の観念で、8月27日午後2時から行なうことに決めた。ハンスト期間は夜も食べ物を取らない。
家族は説得した。友達からも心配する声がなかったわけではない。それでも、今やらなければとの思いから、実行することに決めた。
「命にかかわる活動でもあるので、ハンストを行う人は挙手制にしました。グループメンバー全員がハンストをやればいいというものではなく、実施メンバーをサポートする人も必要なのです」
元木さんはこの活動を通じて、若い人たちに関心を持ってもらいたいと話す。
「今の政治は、民主主義じゃなくなっていると感じます。民意が政治に伝わっていないと感じます。多数決で政治が決まるなんて、民主主義ではないです。
香港や台湾などでは、若い世代の運動が周りの大人たちを巻き込み政治に影響を与えました。学生運動でそういうことができるんだと訴えたいです」
そして、元木さんは、自衛隊にいる友人のためにも活動したいと話した。
「自衛官の友人も、法案には反対だと言います。しかし、自衛官の身分では反対運動もできません。法案では上官命令に関する内容も盛り込まれています。
自衛官になった人は、社会貢献のために自衛隊に応募したんだと思います。東日本大震災では、多くの人が自衛隊の方たちに助けられたと思います。僕は、そんな人たちに、戦場に行ってほしくはありません」
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