ギリシャのアレクス・チプラス首相は8月20日、テレビ演説を行い、国民に信を問うため首相を辞任してすみやかに議会選挙を行うと述べた。チプラス氏は演説後、パブロプロス大統領に辞表を提出した。選挙は9月20日に行われる見通しだ。BBCなどが報じた。
金融危機が続くギリシャでは1月に反緊縮政策を掲げて急進左翼進歩連合(Syriza)のチプラス党首が首相となった。しかし債権者の欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)のいわゆる「トロイカ」との交渉は難航し、6月末に金融支援が失効し、事実上のデフォルト(債務不履行)となる債務の「延滞国」となった。
チプラス首相は7月5日、トロイカの提示した財政再建策の賛否を問う国民投票を実施して61.3%の反対をかちとり、国内世論を追い風に交渉を優位に進めようとしたが、ドイツを中心とするEU側は譲歩せず、ギリシャ政府は増税や年金制度の改革などの改革案を議会で承認するなど、EU側に歩み寄る姿勢に転換した。8月14日には国有企業の民営化や早期退職の段階廃止といった改革案を可決したが、Syrizaから40人以上が造反し、緊縮策をめぐって与党が分裂状態となった。
チプラス首相は演説で次のように述べた。「私たちが行ってきた政策がいかに分別のあることだったかを説明する義務がある。中には、正しいこともあったが、誤りもあった。1月25日の総選挙のとき、みなさんの投票でメモランダム(トロイカとギリシャ政府の間で交わした緊縮財政策の合意文書)を破棄するかどうかの決断ができた。みなさんの投票で私たちが国の代表になれた。みなさんの投票で、誰が、どのようにして困難に陥ったギリシャに道を開けるのかを決めることができた。今回の改革案で合意すれば、経済と国そのものが回復する基盤ができる。誰が危機に陥った債務の交渉をすべきなのか国民に信を問いたい」
「私たちには安定した政府、そして社会秩序の維持のために強力な委任状が必要だ。そうすれば改革を前進させられる。今回の合意は実行しなければいけない。私たちは国にとって最も良い合意をもたらした。合意は維持しないといけない。私たちの目的は、債権者たちから独立を回復することだ」
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