太陽系内に存在する4つの木星型惑星(気体で構成され、地球型惑星のような固体表面をもたない)は木星、土星、天王星そして海王星だ。彼らには、はるか昔に行方不明になった親類の惑星がいたかもしれない。新しい研究結果によれば、私たちの太陽系には、かつて5番目の木星型惑星があったようだ。この星は海王星に近い軌道に乗った後、約40億年ほど前に忽然と姿を消した。
この失われた天体に関して間接的な証拠がある。それは未知の氷の塊(クラスター)の中に見られる。これらは「カーネル」と呼ばれる天体で、 カイパー・ベルト上に存在する。カイパー・ベルトは原始惑星の破片からなり、広大な領域で太陽を中心に海王星の軌道外まで円状に取り囲んでいる。
「カイパー・ベルトは太陽系がその起源からどのように進化したのかを理解するのに最適の手がかりなのです」。コロラド州ボルドーのサウスウエスト研究所の天文学者で、論文の著者デビッド・ネスヴォルニー博士は「ニュー・サイエンティスト」誌に語った。
研究のため、ネスヴォルニー氏は海王星とカーネルのコンピューターシュミレーションを40億年前の原始太陽系に似せて構築した。当時、このクラスターは海王星の重力圏内にあったとされている。しかしその後、シュミレーションによれば何かが起こりクラスターを海王星の重量圏内から逸脱させ、クラスターと海王星を現在の位置へと移動させた。
ここで例の失われた惑星が登場する。シュミレーションの予測では、もう一つの木星型惑星が海王星にぶつかり、それによって惑星と「カーネル」が分離したとされる。
「このモデルから得られた海王星のジャンプの場所と、『カーネル』形成に必要なパターンと規模が一致しました」とネスヴォルニー氏は述べた。
またこのシュミレーションによれば、この惑星は今現在太陽系に存在する天体ではないようだ。謎の惑星は海王星との接触後、太陽系からはじき出されたのかもしれない。
2011年、ネスヴォルニー氏は膨大なコンピューターシュミレーションについて研究論文をまとめた。その結果から太陽系の4つの木星型惑星の現在の軌道について最も適切な説明をする方法は、「失われた5番目の木星型惑星」を考察に加えることだと述べた。
「個人的には5番目の惑星についていかなる物証を得ることも大変厳しいだろうと思っている」とネスヴォルニー氏は語った。「私はカルパー・ベルトの形成について調べ始めました。なぜなら、そこで見えた軌道の形は私のモデルのものと一致しないのではないかと不安だったからです。今では逆に一致する可能性があることに気づきました。本当に驚くべきことでした」
ネスヴォルニー氏の新しい研究について、他の科学者たちはどう考えているのだろうか?
「ネスヴォルニー氏のモデルは首尾一貫しているし、一度に複数の形式を出している点で実に素晴らしいことです」とブリティッシュコロンビア州ビクトリアにあるドミニオン天体物理天文台の天文学者ジョン・J・カヴェラーズ博士(研究には関わっていない)は「サイエンス」誌に語った。
この新しい研究はオンラインでアストロミカル・ジャーナルに2015年8月10日に掲載された。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。