俳優の榎木孝明さんが約1カ月飲み物以外はとらない「不食生活」をして話題になったが、短期間カロリー摂取を抑えることは実際体に良いようだ。
南カリフォルニア大学の研究チームが、1カ月のうちたった5日間カロリーの摂取量を抑えるだけで、体重が減るだけでなくガンや心疾患、糖尿病のリスクが低下する可能性があるという研究結果を発表した。「Fasting Mimicking Diet (FMD)」(絶食風ダイエット)と名づけられたこの食事法は次の通りだ。
実験には19名のボランティアたちに参加してもらい、初日は1日1090キロカロリーの食事をとってもらった。食事の内訳は、タンパク質10%、脂質56%、炭水化物34%だ。
続く2日目から5日目の4日間は、食事のエネルギーは725キロカロリーに抑えられた。内訳は、タンパク質9%、脂質44%、炭水化物47%だった。
5日間のFMDの後、被験者たちには3週間普通の食生活に戻ってもらった。そして翌月以降、再び5日間のFMDを繰り返した。
実験の結果、被験者たちの「インスリン様成長因子1(IGF-I)」というホルモンが低下した。インスリン様成長因子1は、加齢を促し、ガンの成長を促進させることが研究から分かっている。つまりこのインスリン様成長因子1が下がることは、加齢の速度が遅くなることを意味している。
「FMDで体内を再プログラム化することで加齢スピードが落ち、幹細胞が再生して体が若返る」と、研究チームを率いた南カリフォルニア大学のヴァルター・ロンゴ教授はリリースの中で述べている。
つまり定期的にカロリーを抑えることで、若くあり続けることができるかもしれない、ということだ。ロンゴ教授は現在、FMDの日数を変えて実験を行っており「良い結果が出続けるようであれば、長寿と健康寿命を促進する方法としてFMDが使えるようになると思います。それは医師でも勧められることができるような安全な方法です」と話している。
ただし、糖尿病患者などFMDが向かない人もいるので、FMDを初めて行うときは、医師に相談してから行うべきだとロンゴ教授は注意を促している。さらにロンゴ教授によれば、低カロリー高タンパクのダイエットの中には危険なものもあるので、やり方には注意が必要だ。
期間を区切ったカロリー制限が健康にいいということを示す研究は、今回が初めてではない。1週間に1~2回のカロリー制限がアルツハイマー病とパーキンソン病の予防に役立つ可能性があるとする実験結果もある。
また、今回の研究チームが2014年に行った研究でも、加齢やガンの治療で傷ついた免疫システムが、絶食やカロリー制限で再生することが示されている。
よいことだらけのカロリー制限、実際に実行するには意思力が必要そうだが、いつまでも若く健康で居続けることができるのであれば、試してみる価値はありそうだ。
※今回の研究は学術誌『Cell Metabolism』に6月18日付けで掲載された。
この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]
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