国会でもめにもめている労働者派遣法の改正案が、6月19日、衆議院を通過する見込みだ。与野党は18日、厚生労働委員会の理事懇談会で、同法案を19日の委員会で採決することに合意した。これを受けて、与党側がその日のうちに本会議へかける緊急上程を提案。民主党は委員会採決については応じたものの、本会議での採決については「急ぐ必要はない」として反対。このため、渡辺博道委員長(自民)の判断で本会議にかけることを決めた。改正案は自公の賛成多数で可決され、参院に送付される見通し。時事ドットコムなどが報じた。
派遣法改正案は、現在は一部業務を除き最長3年となっている企業の派遣労働者受け入れ期間の制限をなくす内容。これまで「派遣」は臨時的、一時的な仕事を担う例外的な働き方と位置付けられ、「業務ごと」に3年という上限を設けていたが、改正案では「人ごと」に変更された。これだと人さえ入れ替えれば、企業が派遣をずっと使えるという仕組みになり、派遣の固定化が進んだり、正社員から派遣への置き換えが進んだりする可能性があるとして、民主などが反対していた。
「同一労働・同一賃金法」も骨抜き
改正案を巡っては、派遣社員と派遣先の社員の待遇をそろえる「均等」の原則を盛り込むよう労働側が求めており、維新・民主・生活らは、正規雇用か非正規かにかかわらず、同じ仕事であれば同じ賃金を支払うことなどを決める法律を、1年以内に作るなどとした「同一労働・同一賃金法案」の議員立法を進めていた。
しかし、維新が与党側と共同で法案を修正。「1年以内」に法律をつくるとしていた部分を「3年以内」に先延ばしした上で、必ずしも法律をつくる必要もなくした。さらには、「均等の実現を図る」としていた内容を、「業務の内容及び当該業務の責任の程度その他の事情に応じた均等な待遇」などと変更。この点が変更されることで、労働法制に詳しい嶋崎量・弁護士は「派遣と正社員では『業務の内容』(例:労働時間や休日)が違うから、「責任の程度」(例:部署での地位)が違うからという理由で、違いを正当化されてしまう」と指摘している。
与党と維新は、修正法案を19日に提出。この日の厚生労働委員会で趣旨説明が行われた後に採決が行われ、自公と維新の賛成多数で可決する見込み。こちらも本会議に緊急上程がされ、衆院を通過させる方針だ。
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー