民主党の枝野幸男幹事長は5月27日、安倍晋三首相が野党側にヤジをやめるよう呼びかけたことを批判した。「安倍さんは、ヤジは徹底的にダメだというなら、まず自分の党の若手議員に徹底的に指導するのがまず先決。これこそ、自分のことは棚に上げて、他人のことを徹底的に批判するという安倍さんの本質が現れている」と指摘した。国会では26日、枝野氏の答弁中に与党からのヤジが大きい状態だったが、27日は逆に、野党側からのヤジが大きい状態だった。
■なぜ安倍首相は野党のヤジを注意した?
安倍首相が野党のヤジを注意したのは、この日の衆院平和安全法制特別委員会でのことだった。議場では集団的自衛権が盛り込まれる平和安全法制をめぐって、与野党が激しく議論していたが、野党からは、安倍首相の答弁が回りくどく、ポイントを付いたものではないとの趣旨のヤジが上がっていた。
民主党の大串博志議員が、法律が変わり自衛隊の活動範囲が広がることで、自衛隊員のリスクが広がるおそれがあるのではないかと安倍首相に質問。これに対して安倍首相は「自衛隊の仕事に、これまでリスクがなかったというわけではない。その点を国民のみなさんは知るべきだ」などと説明し、自身が慰霊祭に出席した際に、殉職した遺族と対面した経験などを紹介した。
これに対して、野党からは「長い」「質問に答えていない」などとヤジが上がり、浜田靖一委員長も「答弁は簡潔にお願いします」などと注意した。
大串氏は安倍首相の答弁中に「関係ないことを答弁しています。質問に答えて、質問に」と指摘。安倍首相も「質問者は答弁中にしゃべらないでくださいよ」などと応酬。さらに、「関係ないことでしょうか。これはまさに前提のことです。この法案はどういうもので、何のための法制だということを国民のために説明しているんです。なぜこの法制が必要なのかも説明しながら、答弁しているんですから」と述べた。
この安倍首相の答弁について、大串氏は、「わかりやすく説明をしたいという安倍首相の意図はわかるが、あまりにいろんなことを、あちこち回って答弁されるから、かえってわかりづらい。私は正直いって、今の総理の答弁は、何のことかわかりませんでした。国民のみなさんも、(自衛隊員の)リスクが増えるかどうかはわからないと思う」と指摘。さらに、大串氏が中谷元・防衛相に質問を向けた際には、安倍首相が代わりに質問に答えようとし、大串氏に「大臣に質問しているんです。いやもう、長いから」と、安倍首相の積極的な姿勢に苦言を呈する場面も見られた。
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