2011年、驚くほど保存状態の良い沈没船をパナマの沖合で考古学者のグループが偶然発見した。沈没船は水深わずか12メートルの海底に沈んでいたが、略奪を逃れ武器や道具を大量に積んでいたままだった。
その後の調査を経て、この船の謎がついに解き明かされた。
「ナショナルジオ・グラフィック」によると、沈没船はスペインの商船「エンカルナシオン号」と判明した。1681年にパナマのチャグレス川河口で嵐に遭い、沈没したことが分かった。メキシコで造られたこの船はティエラ・フィルメ商船隊の1隻として航行しスペインの植民地に物資を供給していたという。
ティエラ・フィルメ商船隊とニュー・スペイン商船隊は推定時価1600万ペソの貴金属を積み、1590年から1600年にかけて毎年アメリカ大陸からスペインへと輸送していた。そして1521年から1660年の間、スペインは約1630万キロの銀と約18万キロの金を植民地から輸入していたとされている。
テキサス州立大学にあるメドウズ水と環境センターの水中考古学者フリッツ・ハンゼルマン氏は「ナショナル・ジオグラフィック」誌に「この船はスペイン植民地政策の要でした」と語った。
ハンぜルマン氏は「エンカルナシオン号は科学者にとって非常に興味深い存在です。数百年前に造られた船は設計図が残されていません。だから保存状態が良好なこの船から、当時の船がどのように造られたのかが解明できるからです」と述べた。
テキサス州立大学の発表によると、沈没船から発見された遺物の中からは、100箱を超える刀、ハサミ、女性用サンダル、陶磁器、木の樽、封印鉛などが見つかっている。
研究者グループがエンカルナシオン号の残骸を発見したのは、その海域に沈んでいるとされているイギリスの海賊ヘンリー・モーガンが率いた5隻の沈没船を探していた時だった。モーガンは1671年、パナマへの進撃の途中で姿を消している。
エンカルナシオン号の写真を見てみよう。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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