バービー人形を製造しているマテル社は、アメリカに3カ所ある水族館テーマパーク「シー・ワールド」のシャチトレーナーをするバービー人形を今後作らないことを明らかにした。
シャチトレーナーはかつては誰もが憧れバービーもお気に入りの仕事だったが、どうやらそれはもう過去の話で、バービーは今ではシャチが水族館に捕われていることに反対らしい。
ロイターの記事によれば、製造中止になったのは「水を吹くオモチャのクジラとイルカ、それにオモチャのプール」がいっしょに付いているセットだ。
シーワールドのバービー。 Photo: Mattel
ハフポストUS版はマテル社に対し、シャチトレーナーのバービー人形の製造を中止した理由を尋ねたが、回答は得られていない。しかし、マテル社の広報担当者アレックス・クラーク氏はNBC Newsに対し「こういった決定の背景には、さまざまな要因がある」と話した上で「ライセンス契約の期間が終了したが、契約を更新しないことを決定した」と説明している。
シー・ワールドはここ数年悪い評判に悩まされ、財政面でも苦戦している。2013年に公開されたドキュメンタリー映画『ブラックフィッシュ』の影響で、捕獲したシャチやその他の動物の扱い方について批判されているためだ。2014年にはカリフォルニア州でシャチのショーを禁止する法案が提出され、その影響でシー・ワールドの入場者数は減少して株価も急落した。
「美しい野生動物に接する一番いい方法が、彼らを捕獲してバスタブ同然の場所に住まわせ芸を仕込むことだ、なんて子供たちに伝えるのは正しいことではないと私は思います」と、動物愛護団体の「Animal Legal Defense Fund」で弁護士を務めるカーター・ディラード氏はメールで説明する。
Current thinking is that toy reviews like this one on the Toys R Us website might have something to do with the decision.
トイザらスのウェブサイトに書かれている顧客からのレビューには「7歳の娘が誕生日プレゼントにシーワールドバービーをもらったが、シャチやイルカは、仕事がないときには海に戻って家族に会えるの?と尋ねてきた。真実を伝えたところ、彼女はずっと泣いていた」と書かれている。こうしたレビューが、マテル社の決定に影響を及ぼした可能性がある。
マテル社はバービーがシャチ・トレーナーの仕事を辞めた理由についてコメントしていないが、シー・ワールドはこの件について「非常に残念です」と述べた上で、「この決定は、動物園や水族館を閉鎖させるために活動している過激な団体『動物の倫理的扱いを求める人々の会』(PETA)からの訴えに影響されたためだろう」と語っている。
一方、PETAや「アニマル・ウェルフェア・インスティテュート」などの動物愛護団体は、マテル社の発表を歓迎している。
アニマル・ウェルフェア・インスティテュートの海洋生物科学者ナオミ・ローズ氏は、バービーの契約終了が、シー・ワールドに変化を促す圧力になることを期待しているとメールで述べている。
「世界中の人から愛されているおもちゃが、誰もが知っている有名なテーマパークとタイアップするメリットがないと判断するのであれば、テーマパーク側は彼らのビジネスモデルを考え直さなければいけないでしょう」
一方、バービーの歴史に詳しいクリストファー・バラステ氏は、マテル社の決定は、現在の社会の風潮を反映したものだと考えている。
「バービーは、これまで長い間動物たちと良い関係を築いてきました」とバラステ氏は言う。「獣医バービーや古生物学者バービーはどれも『人間の友人である動物たちは人間からの保護を必要としている』ということを子供たちに気づかせる、いわば活動家の役割を果たしていたのです。そう考えると、シー・ワールドのバービーがいなくなるのも不思議ではありません」
バラステ氏によると、議論が起こったことでバービー人形が発売中止になる例は以前にもあったという。
「例えばキム・カーダシアンのバービー人形は、不快で子供たちには非常に不適切だとする声が多く上がったため、販売が見送られました」とバラステ氏は言う。「ただし、タトゥーをしたバービーのように、騒ぎを巻き起こしたけれども販売中止にならなかったものもあります」
「サンディエゴのシー・ワールドで2014年12月に生まれたシャチの赤ちゃん、アマヤ。毎日すくすく大きくなっています」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:佐藤卓/ガリレオ]
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