ビジネス雑誌のファスト・カンパニーが選ぶ2015年の「最も革新的な企業ランキング」で、アップルやグーグル、サムスンなどを抑えて1位に輝いたのは、オンラインでメガネを販売する「ワービー・パーカー」だ。
ワービー・パーカーは創設わずか5年の企業だが、この5年間で急速な成長を遂げている。ファスト・カンパニー誌によれば年間売上は1億ドル(約120億円)を超え、オンライン販売のほか、アメリカ全土で実店舗もオープンしている。
急成長の理由の一つは価格だ。ワービー・パーカーはフレームを自社製造することで価格を安く抑え、ほとんどのメガネを95ドルから販売している。
これは、他のメガネブランドに比べるとかなり手頃な価格だといえる。たとえばイタリアの大手メガネメーカー、ルックスオティカが傘下の「サングラス・ハット」や「オリバーピープルズ」で販売する、自社ブランド「レイバン」や「ペルソール」「オークリー」の値段は、シャネル、ドルチェ&ガッバーナ、プラダといったデザイナーズブランドと同じくらい高い。
価格が手頃なだけでなく、ワービー・パーカーは社会貢献にも積極的だ。彼らはアメリカでメガネがひとつ売れるたびに、ひとつをNPOに寄付している。メガネを寄付されたNPOは、発展途上国の人々に視力検査の仕方や手ごろな価格のメガネを売り方を教えている。
ワービー・パーカーのメガネ寄付プログラム「Buy a Pair, Give a Pair」
だが、ワービー・パーカーが人気を集める最大の理由は「共感」する顧客サービスだ。
ファスト・カンパニー誌の記事を執筆したマックス・チャフキン氏は、ワービー・パーカーが成功しているのは「創業者が熱狂的ともいえるくらい、ブランドや事業に力を注いでいるため」と書く。
ワービー・パーカーの共同CEOで創業者のひとり、ニール・ブルメンサル氏は、2013年のハフポストUS版のインタビューで、次のように話している。「私たちが従業員に求めるのは、自分自身を理解することや、共感する力です。共感する力がなければ、お客に良いサービスを提供することはできません。共感できなければ、他の人と協力して働くことも難しいでしょう。私たちは、最高の顧客サービスを提供できるのは最も共感できる人だと考えています」
こういったワービー・パーカーの姿勢に対し、WIRED誌は2014年6月に「親切すぎるワービー・パーカーは、無事に存続できるだろうか?」というタイトルの記事を掲載しているが、いまのところワービー・パーカーは無事に存在している。
むしろ事業をオフラインでも広げており、マンハッタンのソーホー地区にある本店のほか、これまでに8つの都市で店舗を展開している。
またビジネスを広げる一方で、ワービー・パーカーは共感の精神も守りつづけている。2015年2月には、メガネを選んでいる間に車を盗まれてしまったアトランタの女性客に、地元のバーで使える20ドルのギフトカードを贈り話題になった。
贈られたギフトカードをインスタグラムで女性客が紹介
さらに2014年10月にはニューヨークで翌日配送プログラムを開始。50ドルの追加料金を払えば、24時間以内に新しいメガネを受けとることができるようになった。
ワービー・パーカーの共同CEO、ブルメンサル氏とデイヴ・ギルボア氏は、ハフポストUSにあてた声明のなかで、次のように語っている。「1位に選ばれ、とても光栄です。革新的な企業ランキングの発表があった週は、偶然にもワービー・パーカーの5周年にあたりました。これまでの素晴らしい5年間を、最高の形で祝うことができました」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:梅田智世、合原弘子/ガリレオ]
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