流行に敏感でインディー系の音楽などのサブカルチャーを好む、いわゆる「ヒップスター」と呼ばれる人たちは、一般的に社会問題の解決に前向きな人たちだと考えられている。しかし例えば彼らのコーヒーを飲むといった習慣が、知らず知らずのうちに違法な「奴隷労働」を支えていることがあるという。
そう報告したのは「現代の奴隷問題」に対する意識を高めるための活動をする団体「メイド・イン・ア・フリーワールド(MIAFW)」。MIAFWはヒップスターたちが好んで買う品物、たとえば洋服に使われるコットン、コーヒー豆、携帯電話に使われるレアメタルのタンタルなどを調べ、そしてその結果、平均的なヒップスターが、消費を通じて毎日約27人の奴隷を雇っていることになると算出した。
消費の仕方は人によって異なるため、もちろんこれは厳密な数字ではない、とMIAFWは述べている。しかし一方で、この調査は賢く消費しようと意識している人たちでさえ、時に倫理に反するようなビジネスを支えている可能性があることを浮き彫りにしている。
MIAFWは声明で「自ら考えることや、進歩的な政治、芸術、音楽、創造性、知性を大切に考えている人たちが、知らず知らずのうちに、劣悪な環境で作られた商品を使っています。しかし、倫理的に正しい環境で作られた物だけを買うことは、簡単ではありません。私たちが子供のころから信頼し、愛用してきたブランドの多くが、私たちが大切だと考える倫理観に従っていないからです」と述べている。
「ペルーに住むファビアンはマホガニーを伐採するために、1日12時間働いている。ホンジュラスに住むパオラは、農薬にまみれながらコーヒー豆を採取している」
実際、現代の奴隷問題は深刻だ。奴隷のような労働を強いられている人たちは、今が人類史上最も多いと言われている。
現代の奴隷問題解決のために活動する「ウォーク・フリー・ファウンデーション」(WFF)は「2014年世界奴隷指標」で、現在世界中で推定3580万人が奴隷として生活していると報告している。
ワシントン・ポスト紙によれば、このWFFの数字には「現代の緩い奴隷制の定義」では省かれることもある少年兵や、強制労働・強制売春に従事する人たち、強制結婚による幼な妻、また商品のように働かされいる人々も含まれているという。
また2015年4月には、人権侵害の実態を暴露したAP通信の記事がきっかけとなり、インドネシアで300人以上の奴隷労働者が救出された。彼らは、言葉巧みに勧誘されたりだまされたりして、強制的に漁業に従事させられていたという。水揚げされた魚介類は全世界に出荷されており、その一部はアメリカでも消費されていたとAP通信は伝えている。
確かに自分たちの買う商品が一体どのような世界の市場を経て作られたのかを知ることは簡単ではないが、不可能ではない。たとえば「Free2Work」は、ウェブサイトで強制労働や児童就労にかかわる企業やブランドを報告している。
また先日、MIAFWも、企業が倫理的に問題のないサプライヤーから製品を調達するための情報を提供する「FRDM」というソフトウェアを開発した。このソフトウェアを使って、企業は自社のサプライチェーンから奴隷労働を排除したり、企業間取引の実態について学んだり、虐待が行われているリスクが高い地域を特定したりすることができる。
MIAFWによれば、これは奴隷ビジネスを避けるための世界初のソフトウェアだという。こういった組織やサービスを使うことは、奴隷労働をサポートしない消費をするための一歩を踏み出す助けとなるだろう。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:水書健司/ガリレオ]
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