JASRACは「新規参入妨害」確定 著作権料徴収で最高裁が判決

「日本音楽著作権協会(JASRAC)は他事業者の参入を著しく困難にしている」とする判断が確定した。
Wikimedia Commons

「日本音楽著作権協会(JASRAC)は他事業者の参入を著しく困難にしている」とする判断が確定した。テレビやラジオで使われる楽曲の管理ビジネスをめぐり、JASRACの著作権使用料の徴収方式が、独禁法に違反するかどうかが争われた訴訟の上告審。最高裁は4月28日、独禁法違反ではないとした公正取引委員会の審決を取り消す判決を言い渡した。公取委は審理をやり直すことになる。

JASRACの方式は、放送事業収入の1.5%を支払えば700万を超える管理曲が使い放題になる「包括徴収」方式を採っており、放送向け音楽の著作権管理事業をほぼ独占している。

これに対して、エイベックス・グループの楽曲を管理する著作権管理会社「イーライセンス」が2006年、1曲ごとに徴収する方法で新規参入。JASRACが管理していない曲を利用するには、放送事業者が別途、イーライセンスに使用料を支払う必要があるため、イーライセンスの利用を避けるようになった。その結果、エイベックスはイーライセンスとの間の管理委託契約を解除。こうした経緯から、「JASRACが著作権管理業における競争を実質的に制限している」として2009年2月、公取委はJASRACに排除措置命令を出していた

JASRACは保証金1億円を供託し、命令執行を一時的に免除されたが、不服申し立てを行い、公取委は2012年6月、排除措置命令を取り消しす審決を出した。実際にイーライセンス管理楽曲の利用を回避したと明確に認められるのは、1社の放送事業者にすぎなかったことなどが、取り消しの理由とされた。

これを受けて2012年7月、イーライセンスが公取委による審判の取り消しを求めて東京高裁に提訴。高裁は2013年11月に「審決の認定は実質的証拠に基づかず、その判断にも誤りがある」として、公取委の審決を取り消す判決を言い渡した

今回の最高裁の判決を受け、イーライセンスはコメントを発表。今回の訴訟で対象となった放送分野だけでなく、カラオケなど他の管理分野についても「日本音楽著作権協会が速やかに対処されること願っております」とした。

ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています

【関連記事】

注目記事