エジプトの検察は、デモ隊の殺害を扇動した罪やデモ参加者への拷問に関与した罪で死刑を求刑していた。今回の判決では殺人煽動罪では無罪となったが拷問罪での禁錮刑となった。エジプト軍出身のシシ大統領政権の意向を受け、国際社会の批判をかわすため死刑を回避したとみられる。
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ワシントン・ポストによると、モルシ前大統領は2011年に起こった中東の民主化運動「アラブの春」で、30年にわたる長期政権を築いていたホスニ・ムバラク大統領の退陣を受け、エジプトで初めて行われた民主的な選挙で大統領に選ばれた。モルシ大統領は「アラブの春」でムバラク元大統領退陣で主導的役割を果たした穏健派のイスラム組織「ムスリム同胞団」の出身で、政権運営もムスリム同胞団出身を積極的に登用した。
しかし、経済の立て直しが遅れて民衆の不満が高まった上に、エジプト軍が縮小させた大統領権限の拡大を試みたことから軍部の反感を買い、2013年7月3日の軍事クーデターで失脚した。モルシ前大統領は2012年12月の反モルシ政権デモの際に、デモ参加者の殺害を扇動した罪で訴追された。2013年6月には、ムスリム同胞団の指導者や支持者183人に対して死刑判決が言い渡されている。
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