「スーダン」と名付けられたこの40歳のオスのキタシロサイは、ケニアにある自然保護区内で武装したレンジャーたちに24時間守られながら暮らしている、とインディペンデント紙は報じている。キタシロサイの寿命は50歳程度とされているが、スーダンはいつの日か子孫を残して、キタシロサイを絶滅の危機から救うことを期待されている。
「武装したレンジャーたちが、地球最後のオスのキタシロサイを守っている。キタシロサイは、これまで5000万年生存してきた種だ」
ケニアのオルペジェタ自然保護区でレンジャーたちに世話されながら暮らしているスーダンと他の2頭のメスは、世界で最後のキタシロサイ5頭のうちの3頭だとされている。残りの2頭は、サンディエゴ動物園とチェコの動物園で飼育されている。
インディペンデント紙によると、スーダンの体には、密猟者から守るために無線送信機が付けられているそうだ。また角も切り取られている。その理由を、自然保護区のエロディ・サンペール氏は動物保護を推進するウェブサイト「ザ・ドド」に対してこのように説明している。
「スーダンの角を切り取ったのは、密猟者から守るためです。スーダンに角がなければ密猟者の関心を引くことはありませんから。スーダンの安全のためです」
オルペジェタ自然保護区のスタッフとスーダン。
漢方薬の原料として使われるサイの角は、1キロあたり7万5000ドル(約900万円)以上の値がつくこともある。
密猟者は、サイを守る人々にとっても危険な存在だ。オルペジェタ自然保護区でサイを守っているレンジャーのシモール・イルング氏は、動物の情報を発信するウェブサイト「ワールド・オブ・アニマルズ」にレンジャーの仕事がどれほど危険かを語っている。
「需要が増え続けるサイの角と象牙を求めて、多くの密猟者が襲撃してきます。私たちは多くの密猟者を撃退していますが、職務のために命を危険にさらすことも少なくありません」
オルペジェタ自然保護区にはキタシロサイ3頭だけでなく、23頭のシロサイと105頭のクロサイも生息している。レンジャーたちはこうした動物たちも守っているが、それでも、サイたちは密猟の犠牲になっているという。
危険な任務に取り組むレンジャーたちに最高のトレーニングと装備を提供するため、オルペジェタ自然保護区は3月からクラウドファンディングサイト「GoFundMe」で支援金を募っている。目標金額7万5000ポンド(約1300万円)に対し、いまのところ2万ポンド(約367万円)が集まっている。
募金活動への支援を呼びかけるツイート。わたしたちのサイを守っているレンジャーたちは、あなたの支援を必要としています。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]