キタシロサイ、地球にたった1匹のオス、24時間体制で守られる

密猟者によって大量に殺戮され、絶滅の危機に瀕しているキタシロサイ。そのキタシロサイのオスが、ついに残り1匹になってしまった。

密猟者によって大量に殺戮され、絶滅の危機に瀕しているキタシロサイ。そのキタシロサイのオスが、ついに残り1頭になってしまった。

「スーダン」と名付けられたこの40歳のオスのキタシロサイは、ケニアにある自然保護区内で武装したレンジャーたちに24時間守られながら暮らしている、とインディペンデント紙は報じている。キタシロサイの寿命は50歳程度とされているが、スーダンはいつの日か子孫を残して、キタシロサイを絶滅の危機から救うことを期待されている。

「武装したレンジャーたちが、地球最後のオスのキタシロサイを守っている。キタシロサイは、これまで5000万年生存してきた種だ」


ケニアのオルペジェタ自然保護区でレンジャーたちに世話されながら暮らしているスーダンと他の2頭のメスは、世界で最後のキタシロサイ5頭のうちの3頭だとされている。残りの2頭は、サンディエゴ動物園とチェコの動物園で飼育されている

インディペンデント紙によると、スーダンの体には、密猟者から守るために無線送信機が付けられているそうだ。また角も切り取られている。その理由を、自然保護区のエロディ・サンペール氏は動物保護を推進するウェブサイト「ザ・ドド」に対してこのように説明している

「スーダンの角を切り取ったのは、密猟者から守るためです。スーダンに角がなければ密猟者の関心を引くことはありませんから。スーダンの安全のためです」

オルペジェタ自然保護区のスタッフとスーダン。


漢方薬の原料として使われるサイの角は、1キロあたり7万5000ドル(約900万円)以上の値がつくこともある。

世界自然保護基金(WWF)によれば、1960年には2000頭以上いたキタシロサイは、密猟によって1984年には15頭にまで減った。

密猟者は、サイを守る人々にとっても危険な存在だ。オルペジェタ自然保護区でサイを守っているレンジャーのシモール・イルング氏は、動物の情報を発信するウェブサイト「ワールド・オブ・アニマルズ」にレンジャーの仕事がどれほど危険かを語っている

「需要が増え続けるサイの角と象牙を求めて、多くの密猟者が襲撃してきます。私たちは多くの密猟者を撃退していますが、職務のために命を危険にさらすことも少なくありません」

オルペジェタ自然保護区にはキタシロサイ3頭だけでなく、23頭のシロサイと105頭のクロサイも生息している。レンジャーたちはこうした動物たちも守っているが、それでも、サイたちは密猟の犠牲になっているという

危険な任務に取り組むレンジャーたちに最高のトレーニングと装備を提供するため、オルペジェタ自然保護区は3月からクラウドファンディングサイト「GoFundMe」で支援金を募っている。目標金額7万5000ポンド(約1300万円)に対し、いまのところ2万ポンド(約367万円)が集まっている。

募金活動への支援を呼びかけるツイート。わたしたちのサイを守っているレンジャーたちは、あなたの支援を必要としています。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]

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