北海道内に生息するヒグマが明治以降、急速に肉食から草食傾向に変わったことを、北海道大学や京都大学などの研究チームが突き止めた。道内各地に残るヒグマの骨格標本を分析した結果で、明治以降の開発が影響しているとみられる。研究成果をまとめた論文が、イギリスの科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。
ヒグマは本来シカやサケの仲間を多く食べるが、北海道のヒグマはフキやサルナシなどの植物を中心に食べている。道内にもシカやサケはいるが、いつから草食中心になったのか分かっていなかった。朝日新聞デジタルでは、今回の論文について以下のように報じている。
研究グループは、道東と道南のヒグマの骨を博物館などから提供してもらい、よく食べる動植物によって骨に含まれる比率が変わる炭素や窒素などを分析。骨の年代を「本格的な開発前」、「開発初期」(1931~42年)、「現代」(1996年以降)の3期に分けて、ヒグマが食べた物を調べた。
その結果、道東のヒグマは本格的な開発前(1920年以前)は、シカや昆虫などの陸上動物が64%、サケが19%を占めたが、現代はどちらも8%に減少。道南も開発前(1890年以前)は陸上動物が56%だったが、現代は5%に低下していた。
(ヒグマ、草食化していた 明治以降に急速、開発影響か:朝日新聞デジタル 2014/04/06 07:13)
4月3日付の北海道新聞によると、京大生態学研究センターの松林順さんは以下のようにコメントしているという。
「サケ漁や土地開発が本格化したことが影響したと考えられる。また、ヒグマは単独では(大型で敏しょうな)シカの成獣を捕獲することが難しく、かつてはオオカミが仕留めたシカを横取りしていたとみられ、エゾオオカミの絶滅が関係した可能性もある」
ヒグマが草食化する以前の明治・大正期には、冬ごもり前で空腹になったヒグマが、入植した人間を殺傷する凄惨な事件が起きていた。1915年に婦女子10人が殺傷された三毛別羆(さんけべつ・ひぐま)事件などが知られている。
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