ニューヨーク市で、家と呼べる場所を持たない子供の数は2014年に2万5000人を記録し過去最高だった。ホームレス支援団体「ホームレスのための連携」が3月19日に公開したレポートで発表した。なかでもアフリカ系の子供たちの数が多いという。
ニューヨーク市に住むホームレス家族の成人のうち約3分の1は職に就いている。しかしこういった働いていながらもホームレスから抜け出せない人々の割合が急速に増えているという。大きな理由は、ニューヨーク市で家賃の安い賃貸住宅が減っているため、相場のアパートに給料が足りず借りることができないことだ。
ニューヨーク市では、デブラシオ市長によるホームレスに恒久的な住宅を提供するという対策で、2014年12月以降、300家族以上がホームレスから抜け出すことができている。「ホームレスのための連携」はこのことを大きく評価する一方、問題解決にはさらに積極的な対策が必要だと述べる。
具体的な対策として、同団体はデブラシオ市長に毎年少なくとも2500戸のアパートをホームレスの家族に割り当てるよう求めている。またニューヨーク州のクオモ知事に対しても、ホームレスを減らし、保護施設にいる人たちを賃貸住宅へ移行するために、ニューヨーク市の賃貸補助プログラムへの支援を強化するよう訴えている。
デブラシオ市長は市の賃貸補助金プログラムの一環として、市内で賃貸住宅を所有している人たちが信頼できるホームレスの家族にアパートを貸した場合、1000ドルのボーナスを支払うと提案している。このプログラムでは借り手は給料の30%を家賃に当てるとラジオ局「WCBS880」は伝えている。
また、住宅確保も大事だが子供のホームレスはそれ以上に緊急を要する課題だ、と専門家は主張している。子供たちの脳が成長過程にあるときにトラウマ(心的外傷)を経験すると、発育が遅れたり学校の勉強についていくのが難しくなったりするリスクが生じるからだ。
ニューヨークに限らず、アメリカ全体でもホームレスの子供の数が増えており、「全米家族ホームレスセンター」の2014年の推定によれば、アメリカ全土の子供のホームレスの数は過去最高の250万人だという。
子供と家族を政策の優先事項とするよう求める超党派団体「ファースト・フォーカス」のブルース・レスリー会長は2014年にハフポストUS版に対し、ホームレスの子供たちは人身売買や虐待の犠牲になりやすく、食事を満足に与えられないことも多いと語っている。
一方、政府の統計の取り方がホームレス問題を見えにくくしているという指摘もある。住宅都市開発省のホームレスの定義が厳しすぎるために100万人を超えるホームレスの子供たちが公式な統計に入っておらず、その結果、州政府や地方政府が連邦政府からの補助金をホームレス支援に十分に活用できてないというのだ。
「国はホームレスの家族や子供の問題を優先してきたとは言えません」と、全米ホームレス家族センターのカーメラ・デカンディア代表は、ピュー財団の非営利情報サービス「Stateline」に語っている。「この問題の大きさについて、国と我々が同じ認識を持っていなければ、問題解決に必要な資金などをどこから得ることができるでしょう」
文末スライドショーでは、「過去12カ月で少なくとも1回、お金がなくて食べ物を入手できなかったことがある」と答えた人の率が最も多いアメリカの州のランキングを紹介している。2013年の調査結果によると、1位はミシシッピ州で、その率は25.1%。10位はアリゾナ州で21%だ。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:水書健司、合原弘子/ガリレオ]
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