【オバマ大統領独占インタビュー】イスラエルのネタニヤフ首相に失望「良識に反する」

アメリカのバラク・オバマ大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がパレスチナ国家の設立を支持しないと想定して外交政策を行っている。
The Huffington Post/Damon Dahlen

シントン--アメリカのバラク・オバマ大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がパレスチナ国家の設立を支持しないと想定して外交政策を行っている。

ネタニヤフ首相がイスラエル総選挙に勝利した後、イスラエルとパレスチナの2つの国家が共存することを受け入れると表明しても、その姿勢は変わらない。

「彼の言葉をそのまま受け止めています。彼は、そんなことは在任期間中には起こらないと言っていました。だから、この地域の混沌とした状況は見通せないということがはっきりさせるために、我々は他の選択肢が可能なのか検討したのです」と、オバマ大統領は3月20日、ハフポストUS版のインタビューに答えた。

イスラエル政府とは軍事、情報収集活動の両面で連携を継続すると強調したものの、オバマ大統領は、パレスチナが国連を通じて国家の樹立をするのをアメリカが拒否し続けるかどうかについては明言を避けた。19日に行われた両首脳の電話会談で、オバマ大統領は、ネタニエフ首相に「人々が交渉は可能なのだと真剣に考えられるようになるところまで到達する道筋を見つけるのは、非常に困難なものになるだろう」と指摘したという。

今回のオバマ大統領の発言は、アメリカ政府が17日に行われたイスラエル総選挙後に発表された初の公式声明となる。オバマ大統領の強い不快感はネタニヤフ首相が選挙日に行った警告に向けられた。ネタニヤフ首相は、アラブ系イスラエル人の有権者が「大挙して」選挙に行っていると述べていた。

「そうしたレトリックは、イスラエルの伝統的な良識とは正反対のものだと述べました。イスラエルは歴史的に見てユダヤ人の祖国として成立しましたし、ユダヤ人の祖国を持つ必要性に基づいていました。イスラエルの民主主義は国の全ての人々が平等かつ公平に扱われるという前提の上に成り立っています」とオバマ大統領は述べた。「それこそがイスラエルの民主主義がもつ良識だと私は思います。もしそれが失われたら、ユダヤ人国家を認めない人々に対して攻撃材料を与えることになるばかりか、民主主義の名を失うことにもつながると思います」

オバマ大統領の発言は、地政学的な反発を封じ込めるものだ。ネタニヤフ首相は16日の声明で「自分の在任中はパレスチナ国家は建国されない」と述べ、反発に拍車がかかっていた。ネタニヤフ首相はその後、非常に限定的に制限された条件付きで「2国家が共存可能とする解決案に対しては可能性が開かれている」と発言を修正した。しかし、ダメージはあったようだ。ホワイトハウスは声明で一番形式的な外交官用語しか述べず、その苛立ちを隠した。

オバマ大統領は、ネタニヤフ首相がイスラエルの民主主義の根幹に関わるような発言を行ったことに関して懸念を表明する一方で、選挙でのネタニヤフ首相勝利が現在行われているイランの核問題交渉に具体的な影響を及ぼすとは考えていない。アメリカのジョン・ケリー国務長官とイランのモハマド・ジャバド・ザリフ外相との交渉が行われる数日前の時点で、アメリカとその他の5カ国は協議を終了させる予定だったため、オバマ大統領は合意成立の見通しについて、非常に慎重な見方を示した。

「正直なところイランは、そのような最終合意の成立に必要と私が考えている譲歩の姿勢をまだ示していません。しかしイランも動きを見せており、可能性はあるでしょう」

報道によると、この最終合意の膠着状態が続くと、イランが開発しようとしている新型の遠心分離機の制限に関する議論が長引き、合意締結後にイランに与えられる国際制裁緩和のペースも遅くなるという。

交渉関係国は、イランの新年(ノウルーズ)のために交渉を中断した。オバマ大統領は3月20日、関係国すべてがこの時期に「現状の立場で、より満足の得られる形になる」ように促した。

大統領は「私たちの目的は、この交渉に何カ月間もかけるのではなく、何週間かで行うことです」と付け加えた。

切迫した国際問題の他に、オバマ大統領は国内の問題にも言及した。強い調子で、大統領は司法長官候補ロレッタ・リンチ氏の承認を引き延ばしている上院の共和党議員を非難した。そして民主党に、問題の多い中絶反対の条文が入った人身売買に関する法案の通過に抵抗するよう働きかけた。

「司法長官候補を、関係のない理由で人質に取ることはできません」とオバマ大統領は述べた。「司法省は我が国の最高の法執行機関なのです」

与野党間でさらに対立を深めかねない問題は、「政治的地平」上にあるといえそうだ。大統領は「予算案に署名しない可能性があります。予算執行差し止め手続きによって生じる強制的な歳出削減を緩和しないときに政府に財源を与えるためです」ときっぱり述べた。2015年10月の新会計年度から強制削減措置を盛り込まないことから、オバマ大統領の今回の予告は、議会に厳しい姿勢で臨み、2013年10月に続く政府機関閉鎖の山場を迎える可能性を秘めている。

「私の立場ははっきりしています。たとえば、教育費が2000年以降の最低レベルに戻るなんていう状況に陥ることはありません」とオバマ大統領は述べた。「そんなことは子供たちにできません。私は署名をしないでしょう」

議会からの協力が得られなくても、オバマ大統領が最後の1年半の在職中に主導権を握れる機会がある。ホワイトハウスの閣議室で行われた約25分間のインタビューの間に、大統領は2つの大きな政策課題が待ち受けていると述べた。

「比較的早い段階で、年間の最低賃金を引き上げます。その値を基準に、企業は、週40時間を超過して働く雇用者に時間外手当を支払う必要があります」とオバマ大統領は述べた。大統領は現状水準の2万3600ドルをどのくらい引き上げるかについては明らかにしなかった。

さらに、オバマ大統領は、恩赦と特赦の権限を「より積極的に、基準を満たす人々のために」行使していくと語った。オバマ大統領はこれまでの大統領よりも恩赦の数が少ないという批判がいまだにある。

その一方で、オバマ大統領は、第二期政権末期の数カ月に長期負債と債務削減のための「重要な取引」を行う交渉のテーブルに戻ることはない。財政危機はまだ去っていないという共和党の批判にもかかわらず、オバマ大統領は、時期に応じて異なる対処法があると主張している。

「実は、状況が変わったのです」と、オバマ大統領は述べた。給付金制度の改革のような問題を強調しなくなった理由を尋ねられた時だった。「その時は、かなり大きい赤字に直面していましたが、ちょうど経済が成長し始めていました。現在、力強い成長局面にあるのはご存知の通りです」

2010年と2011年に行った議会との交渉を再開する気がないと言っても、それは政策がぶれているわけではないと、大統領は付け加えた。時間が経つにつれて、大統領としてより進歩したかと聞かれて、オバマ大統領の上級顧問ダン・ファイファー氏が最近コメントしたように、きっぱりと「そうは思わない」と答えた。

オバマ大統領は、「私たちがしてきたことは、一貫して物事を成し遂げるためにもう一つの可能性を模索することです。どんな手段を講じても、私がこの閣議室を去る時には、必ずこの国がより繁栄し、人々はより多くのチャンスを手にし、子供たちはより良い教育を受け、競争力を身につけ、気候変動が以前より真剣に取り組まれるようにします。それに向けて、私たちは現在できることをしようとしています。そのようなことが私が振り返り、大統領として成功したかどうかを問う手段となるのです」

インタビュー動画とテキスト書き起こしは以下の通り。

スタイン : 外交に話を移しましょう。総選挙の最後にベンヤミン・ネタニヤフ首相は2国家共存についての声明を出しましたが、アメリカは国連から独立国家としての承認を得ようとするパレスチナの動きに対して反対を続けるのでしょうか?

オバマ : そうですね、昨日ネタニヤフ首相と会談する機会があり、選挙での勝利に対してお祝いの言葉を述べました。私は彼に対し、我々はイスラエルが長期に渡る安定を確保し、ユダヤ人国家、そして民主主義国家であり続けるためには2国家共存こそが唯一の道だと信じていくべきだということを伝えました。

さらに、選挙前の彼の声明を考えれば、人々が交渉は可能なのだと真剣に考えられるようになるところまで到達する道筋を見つけるのは、非常に困難なものになるだろうとも話しました。我々は事態の推移を見極めているところです。ネタニヤフ首相は組閣に取り掛かっていると思うので、これから緊密な協議を行っていきます。アメリカとイスラエルでは政策面での相違がありますが、軍事と情報収集活動の両面で協力することでイスラエル国民の安全保障につながります。そうした協力がアメリカ国民の安全にもつながるということをしっかりと確認するつもりです。

しかし、私たちの観点からすれば現状を維持することは不可能だということも引き続き主張するつもりです。そしてイスラエルの安全を一方で確実に考慮しながら、入植地の拡大という現状を永久に維持していくことはできません。それは同地域の安定のとはならないのです。

スタイン: 現時点でネタニヤフ首相がパレスチナ国家について本腰を入れる理由はありますか?

オバマ: 我々は彼の言葉を受け、彼が首相在任中には動きはないだろうと考えています。ですからこの地域に確実な安定をもたらすためにも、他の選択肢を検討しなくてはならないのです。

スタイン: ネタニヤフ首相が選挙当日に「アラブ人が大挙して投票に向かっている」と警告したことについて、あなたはどのように反応しましたか?

オバマ: そうしたレトリックは、イスラエルの伝統の最良のものとは正反対のものだと述べました。イスラエルは歴史的に見てユダヤ人の祖国として成立しましたし、ユダヤ人の祖国を持つ必要性に基づいていました。イスラエルの民主主義は国の全ての人々が平等かつ公平に扱われるという前提の上に成り立っています。それこそがイスラエルの民主主義の最良の点だと私は思います。もしそれが失われれば、ユダヤ人国家を認めない人々に対して攻撃材料を与えることになるばかりか、民主主義の名を失うことにもつながると思います。

スタイン: では、基本的にあなたはそれをなかったことにできるのでしょうか?

オバマ: おそらくその質問はネタニヤフ首相にした方が良いと思いますよ。

スタイン: 私たちの次の仕事は間違いなくそれですね。

イスラエルの総選挙は、あなたのイランとの核協議に対するアメリカ国民と議会の反応にどのような影響を与えると思いますか?

オバマ: 大きな影響はないと思います。明らかに、イスラエルは基本的なところでイランに対する大きな不信感を抱いています。それは理解できます。イランは下劣な発言、反ユダヤ的発言、イスラエルを破壊するなどといった発言などをしてきました。それこそまさに、私がまだ大統領になる以前から、イランが核を保有することは許されないと述べてきた理由です。

交渉がまとまるかどうかの第一の条件は、イランが世界に向けて核開発をしていないことを証明する準備ができていて、それを我々がしっかりと一貫性を持って確認できるかということです。

正直なところイランは、そのような最終合意の成立に必要と私が考えている譲歩の姿勢をまだ示していません。しかしイランも動きを見せていますから、可能性はあるでしょう。

もうひとつ、私がアメリカ国民やイスラエル国民だけでなく、世界に示すことができるのは、事実として、我々にはイランの核保有を防止するメカニズムがしっかりとあるということです。そしてその交渉には確証があるだけでなく、なんの合意もない場合に比べて、イランがそれを破る可能性ははるかに低いのです。もし交渉が可能なら、我々はその点を議論していくつもりです。しかしまだやらなければならないことは残っています。

スタイン: それが次の質問です。最近の報告では、草案の作成が行われていると言われています。しかし別の報告では、国連の制裁解除の動きを巡って交渉が行き詰まっているとも言われています。実際のところはどうなっているのでしょう。あなたは制裁解除の時期に関して、どの程度考えを固めていますか?

オバマ: 全ての折り合いがつくまで合意はあ

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