3月16日の参議院予算員会で三原じゅん子参院議員が行った質問のなかで、「八紘一宇(はっこういちう)は大切にしてきた価値観」と発言した。
「八紘一宇」とはどのような意味なのか。コトバンクによると、由来は、「日本書紀」巻第三の神武紀で、神武天皇が大和橿原に都を定めたときの神勅に、
兼六合以開都、掩八紘而為宇、不亦可乎
六合(くにのうち)を兼ねてもって都を開き、八紘(あめのした)をおおいて宇(いえ)と為(せ)んこと、またよからず
1903年、仏教運動家の田中智学がこの言葉を「全世界を一軒の家のような状態にする」と解釈し、日本的な世界統一の原理として 1903年に「八紘一宇」を造語した。
田中智学
しかし、戦前には日本軍のアジア侵略を正当化するためのスローガンとして用いられた。1940年(昭和15)8月、第二次近衛文麿内閣が基本国策要綱で大東亜新秩序の建設をうたった際、「皇国の国是は八紘を一宇とする肇国(ちょうこく)の大精神に基」づくと述べた。これが「八紘一宇」という文字が公式に使われた最初である。
1940年、紀元2600年を記念して宮崎市に建設された「八紘之基柱」。現在は「平和の塔」という名で平和台公園内にある。
1940年に発行された紀元2600年記念切手。右側に「八紘一宇」の文字がある
戦後、1945年12月22日にGHQから発令された「神道指令」により、軍国主義、過激な国家主義と切り離して使用できない言葉として「大東亜戦争」などとともに公文書での使用を禁じられた。
公文書ニ於テ「大東亜戦争」、「八紘一宇」ナル用語乃至ソノ他ノ用語ニシテ日本語トシテソノ意味ノ連想ガ国家神道、軍国主義、過激ナル国家主義ト切り離シ得ザルモノハ之ヲ使用スルコトヲ禁止スル、而シテカカル用語ノ却刻停止ヲ命令スル
三原じゅん子議員が16日に行った質問と、麻生財務相、安部首相の答弁の全文は以下の通り。
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三原参院議員:私はそもそもこの租税回避問題というのは、その背景にあるグローバル資本主義の光と影の、影の部分に、もう、私たちが目を背け続けるのはできないのではないかと、そこまで来ているのではないかと思えてなりません。そこで、皆様方にご紹介したいのがですね、日本が建国以来大切にしてきた価値観、八紘一宇であります。八紘一宇というのは、初代神武天皇が即位の折に、「八紘(あめのした)を掩(おお)ひて宇(いえ)になさむ」とおっしゃったことに由来する言葉です。今日皆様方のお手元には資料を配布させていただいておりますが、改めてご紹介させていただきたいと思います。これは昭和13年に書かれた『建国』という書物でございます。
「八紘一宇とは、世界が一家族のように睦(むつ)み合うこと。一宇、即ち一家の秩序は一番強い家長が弱い家族を搾取するのではない。一番強いものが弱いもののために働いてやる制度が家である。これは国際秩序の根本原理をお示しになったものであろうか。現在までの国際秩序は弱肉強食である。強い国が弱い国を搾取する。力によって無理を通す。強い国はびこって弱い民族をしいたげている。世界中で一番強い国が、弱い国、弱い民族のために働いてやる制度が出来た時、初めて世界は平和になる」
ということでございます。これは戦前に書かれたものでありますけれども、この八紘一宇という根本原理の中にですね、現在のグローバル資本主義の中で、日本がどう立ち振る舞うべきかというのが示されているのだと、私は思えてならないんです。
麻生大臣、いかが、この考えに対して、いかがお考えになられますでしょうか。
麻生財務相:もうここで戦前生まれの方というのは、2人くらいですかね、あの、他におられないと思いますけど、これは、今でも宮崎県に行かれると八紘一宇の塔というのが立っております。宮崎県の人、いない? 八紘一宇の塔あるだろ? 知ってるかどうか知らないけど。ねえ、福島(みずほ)さんでも知っている。宮崎県関係ないけど、八紘一宇っていうのは、そういうものだったんですよ。
で、日本中から各県の石を集めましてね、その石を全部積み上げて八紘一宇の塔っていうのが宮崎県に立っていると思いますが、戦前の中で出た歌の中でもいろいろ「往け、八紘を宇(いえ)となし」とか、いろいろ歌がありますけれども、そういったもののなかにあってひとつのメインストリームの考え方のひとつなんだと私はそう思いますけれども。
私どもはやっぱり…なんでしょうねえ…やっぱり世界の中で1500年以上も前から、少なくとも国として今の日本という国の、同じ場所に同じ言語を喋って、万世一系天皇陛下というような国というのは他にありませんから。日本以外でこれらができているのは10世紀以降にできましたデンマークくらいがその次くらいで、5世紀から少なくとも「日本書紀」という外交文書を持ち、「古事記」という和文の文書を持ってきちんとしている国ってそうないんで。そこに綿々と流れているのはたぶんこういったような考え方であろうということで、この清水(芳太郎)さんという方が書かれたんだと思いますけれども。
こういった考え方をお持ちの方が三原先生みたいな世代におられるのに、ちょっと正直驚いたのが実感です。
三原議員:はい、これは現在ではですね、BEPS(税源浸食と利益移転)と呼ばれる行動計画が、何とか税の抜け道を防ごうという検討がなされていることも存じ上げておりますけれども、ここからが問題なんですが、ある国が抜けがけをすることによってですね、今大臣がおっしゃったとおりなんで、せっかくの国際協調を台なしにしてしまう、つまり99の国がですね、せっかく足並みを揃えて同じ税率にしたとしても、たったひとつの国が抜けがけをして税率を低くしてしまえば、またそこが税の抜け道になってしまう、こういった懸念が述べられております。
で、この期に及んで単に法人税をもっと徴収したいというような各国政府の都合に基づくスタンスから一歩踏み出してですね、つまり、何のためにこうした租税回避を防止するかという理念に該当する部分を強化する、こういったことが必要なのではないかと思っております。
総理、ここで、私は八紘一宇の理念というものが大事ではないかと思います。税の歪みは国家の歪みどころか、世界の歪みにつながっております。この八紘一宇の理念の下にですね、世界がひとつの家族のように睦み合い、助け合えるように、そんな経済、および税の仕組みを運用していくことを確認する崇高な政治的合意文書のようなものをですね、安部総理こそがイニシアティブをとって提案すべき、世界中に提案していくべきだと思うのですが、いかがでしょうか?
安倍首相:こうした、いわば租税回避ができるのは本当に多国籍企業であり、巨大な企業であってですね、こういう仕組みを、こういう企業のみが活用できるわけでございます。まさに日本の中でコツコツ頑張っている企業はそういう仕組をとても活用することができないわけでございまして、そういう意味において正直者が馬鹿を見てはならないわけですし、しっかりとそれを進めていく国とそうでない国に大きな差が出てはならないわけでございますので、BEPSプロジェクトの取組みがですね、OECD租税委員会において進められているわけですが、本年中の取りまとめに向けてですね、日本政府としてもしっかりとリーダーシップを取っていきたいと、このように考えております。
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三原じゅん子議員は、17日に自身のブログで改めて「八紘一宇」について言及している。
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