「"地球温暖化"と言うな」フロリダ州知事が職員にかん口令 気候変動に懐疑的

フロリダ州のリック・スコット知事が、フロリダ州環境保護局だけでなく、その他の州の機関にも「気候変動」や「地球温暖化」という単語を公的文書などで使用しないようと口頭で指示してきたが明らかになった。

2011年にフロリダ州の知事に就任した共和党のリック・スコット氏が、フロリダ州環境保護局に対して、「気候変動」や「地球温暖化」という単語を公文書などで使用しないようと口頭で指示してきたことは、すでに報じられている。しかし新たな報告によると、こうした指示は環境保護局だけにとどまらず、他の州機関にも及んでいたようだ。

非営利団体「調査報道のためのフロリダセンター」(FCIR)は、これまでに4人の州環境保護局職員が「気候変動」や「地球温暖化」といった単語を使わないようを口頭で指示されたことを認めている、と報告していたが、他の機関の職員もこの件に関して口を開き始めている。

マイアミ郊外にあるフォートローダーデール運輸局で昨年まで責任者を務めていたビル・テイラー氏は、2012年か2013年に行われた会議を振り返って次のように話す。「今後公的な場面では“気候変動”や“地球温暖化”といった表現を使わないように、と口頭で告げられました。ただし海面上昇については、検討すべきプロジェクトもあるので取り上げても構わないと伝えられました」

南フロリダ水管理局の元職員も同様の話をしている。

「報告書でそういった言葉を使ってはいけないということは、広く知られていました。報告書がチェックされる時に引っかかってしまうのです」

またフロリダのある科学者は、気候変動が特定の海の食べ物による食中毒に及ぼす影響に関する論文を共同執筆した際に、その論文から「気候変動」という表現をすべて削除するよう同州保健局から指示された、とワシントン・ポスト紙に述べている

一方、スコット知事を含むフロリダ当局は、そういった言葉を禁止する政策は存在しないと否定している。3月9日にはスコット知事は記者たちに対して、FCIRの報道は「事実ではない」と述べている。しかし、「人間が作り出した地球温暖化は、解決しなければいけない問題」であるかどうかについては言及を避けた。

スコット知事はかねてから、地球温暖化に懐疑的な姿勢を見せている。たとえば2014年5月に「人間が引き起こした気候変動が天気や気候に重大な影響を及ぼしているかどうか」と記者に尋ねられた際、「私は科学者ではありませんから」と答えて話題を変えようとした。また、2010年にフロリダ州のタンパベイ・タイムズ紙が気候変動が起きていると考えているかどうかを尋ねた際には「いいえ」と答えている。

しかしスコット知事が地球温暖化に懐疑的な態度をとる一方で、フロリダ州は、海面上昇によって海沿いの地区が消滅する危機にさらされている。「Southeast Florida Regional Climate Compact(南東フロリダ地域天候協定)」は、南東フロリダ地域の海面は2060年には最大で60センチメートル上昇するだろうと警鐘を鳴らす

FCIRは、「気候変動」や「地球温暖化」という言葉は、監視の目をくぐりぬけて今でも時おり州政府報告書に登場しているが、スコット知事が就任して以来、使用回数は「激減した」と指摘している。

一方、フロリダ州選出の民主党上院議員ビル・ネルソン氏は、気候変動による影響に関して知事とは非常に異なった見解を持っていて、上院議会で気候変動と海面上昇の影響でマイアミ地区がたび重なる洪水被害を受けていると訴えている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:遠藤康子/ガリレオ]

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