ロシア・プーチン政権内に不穏な動き 野党指導者ネムツォフ氏暗殺で浮き彫りに

ロシア野党指導者のボリス・ネムツォフ氏の暗殺事件からほぼ2週間。事件の背景や「黒幕」については依然、謎に包まれたままだが、事件をきっかけに、プーチン政権内部の亀裂が浮き彫りになっている。
Reuters

[モスクワ 12日 ロイター] - ロシア野党指導者のボリス・ネムツォフ氏の暗殺事件からほぼ2週間。事件の背景や「黒幕」については依然、謎に包まれたままだが、事件をきっかけに、プーチン政権内部の亀裂が浮き彫りになっている。

政権内部で何が起きているのか、外部からはうかがい知れない。ただネムツォフ氏に近い筋は、政権内のある一派が事件を利用して、大統領に不満を持っていることを知らしめようとしている、と話している。

ネムツォフ氏の弁護士のヴァディム・プロホロフ氏は、ロイターに対して「プーチン大統領にとっても、事件は寝耳に水で、恐怖を感じているのかもしれない。クレムリンに近い場所での暗殺が可能ということは、(大統領の)車列への攻撃も可能、ということになる」と述べた。

プーチン大統領が今週、何の説明もなしに、カザフスタン訪問をキャンセルしたことで、憶測は一段と広がっている。カザフの政府当局者の1人は、体調不良のためだと述べたが、クレムリンによると、プーチン大統領の健康状態は良好で、通常どおり執務を行っているという。

プーチン政権内で、誰がどの派閥に属しているのか、そもそも派閥が存在するのかについて、確かなことは言えない。プーチン政権内に主張の異なるグループがあることは、誰も公式には認めていないからだ。

ただアナリストは、チェチェン共和国のカディロフ首長と、大統領の最側近である治安当局者との間に、深刻な対立があると指摘する。

■国内ではプーチン大統領「弱腰」批判も

プーチン政権内で不穏な動きを見せているのはナショナリストだ。ロシアによるウクライナへの介入は西側諸国の怒りを買ったが、ロシア国内では、プーチン大統領は弱腰だと不満を持っている向きもある。

ロシアでは、ウクライナ南部・東部の親ロ派への支援を強化し、支配地域をルガンスクとドネツク全土に広げるよう、要求する声が強い。

ウクライナ東部の親ロシア派の間でよく知られているロシアの指揮官、イゴール・ギルキン氏は1月、ロシアのインターネットTVとのインタビューで、プーチン大統領の側近を「西側寄り」だと批判した。

ロイターの記者は昨年12月、プーチン大統領に質問した。ウクライナ危機やロシア経済悪化による圧力が高まるなか、宮殿クーデター(支配者の側近によるクーデター)が起こるリスクを感じているかと。

大統領は「宮殿がないため宮殿クーデターは起こりえない。大統領の正式な居住地はクレムリンであり、警備に怠りはない」と強調した。

(Christian Lowe記者、Jason Bush記者 翻訳:吉川彩 編集:加藤京子)

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