【駐韓米大使襲撃】容疑者の男、日本大使にセメント片投げた前科

リッパート駐韓アメリカ大使がソウル市内の講演会会場で男に刃物で右ほおなどを切り付けられた事件で、韓国警察当局は、キム・ギジョン容疑者(55)を現行犯逮捕した。
時事通信社

ソウル市内で3月5日朝、マーク・リッパート駐韓アメリカ大使(42)が男に刃物で右ほおなどを切り付けられた事件で、韓国警察当局は男を現行犯逮捕した。韓国の聯合ニュースは、男はキム・ギジョン容疑者(55)だとしている。

時事ドットコムなどによると、キム容疑者は取り押さえられた際、「独島(日本名・竹島)は韓国領土」「アメリカ軍のやつらはなぜこの地で戦争訓練をするのか」などと叫んだという。日韓関係などへのアメリカの対応に反発し、犯行に及んだとみられる。韓米両軍は2日から定例の合同軍事演習を実施している。

襲撃された直後のリッパート駐韓米大使=ソウル EPA/YONHAP SOUTH KOREA OUT

聯合ニュースによると、キム容疑者は2010年7月、重家俊範・駐韓日本大使(当時)にコンクリート片を投げ付け、「日本のせいで南北が分断された」と叫び、外国使節暴行罪で懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受けていた。2014年には、重家氏を襲ったときの詳細を記した本を出版していた。

また、キム容疑者は、日韓が領有権を主張する竹島をめぐり、日本に抗議運動を展開する市民団体の代表を務めている。島根県が2005年に「竹島の日を定める条例」を定めると、同容疑者は家族の住所登録を竹島に移したとされる。

リッパート大使は、ソウルで開かれる朝食会に出席して講演をする予定だった。最も前方中央のテーブルに座り、食事をしようとしたときに事件は起きた。襲われた後、大使は顔のあたりから血を流し、ハンカチで押さえながら会場を出た。現在、病院で治療中で、命に別条はないという。

リッパート大使は、オバマ大統領を上院議員時代の2005年から補佐してきた最側近の一人で、国家安全保障会議(NSC)首席補佐官兼秘書室長、国防総省次官補(アジア太平洋担当)、国防長官秘書室長などの要職を務め、2014年10月、史上最年少の駐韓アメリカ大使として赴任した。

韓国で生まれた自分の子供の名前に韓国式のミドルネームを入れたり、飼っている犬の写真をTwitterに投稿したりするなどし、韓国では身近な存在として知られている。

アメリカ国務省は、「われわれはこうした暴力行為を強く非難する」との声明を出した

【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています

注目記事