【花燃ゆ】東出昌大、16歳からの友人・高良健吾と切磋琢磨
大河ドラマ『花燃ゆ』で、女優・井上真央演じる主人公の最初の夫、久坂玄瑞を演じる東出昌大。同局の連続テレビ小説『ごちそうさん』でブレイクした東出が、同局のもう一つの看板番組、大河ドラマにも初出演を果たした。
「もともと歴史好きということもあり、独特の世界観があって、番組の歴史も長い大河ドラマに出演できるのは、素直にうれしいです。芸歴も4年目に入り、『挑戦』とばかりは言っていられない。地に足のついた芝居をしていこうと腹をくくって臨んでいます」(東出、以下同)。
同作の高杉晋作役の高良健吾とは16歳の頃からの友人。今回が初めて共演がかない、「自分の中でも高良くんの存在は大きくて、彼の方が役者としては先輩ですし、ライバル関係というか勝ち負けではないけれども、久坂と高杉に通じる感情が二人の間にも流れているような気がします」。
吉田寅次郎改め、松陰が塾長を務め、伊藤博文、山縣有朋ら多くの維新の志士、明治の元勲を輩出した松下村塾。その中でも一、二を争ったのが、高杉と久坂の二人。松陰から「識の高杉、才の久坂」と並び賞され、当人たちもお互いを認め合い、切磋琢磨しあう間柄だった。
出演が決まってから高良を家に招き、勉強会を開いたことがあった。役作りや作品への理解を深めるために、手がかりになりそうな資料をお互いに持ち寄り、情報交換したという。そんな真面目な二人だから、気が合うのかもしれない。
「クランクインの前日に高良くんから電話があったんです。『緊張して眠れない』って。よくよく聞いたら、翌日に備えてしっかり睡眠をとろうと夕方から床についたら、夜の10時に目が覚めてしまったという最悪なパターン(笑)。そういうところがなんとも高良くんらしいと思っています」
クランクイン当日は、初回(1月4日放送)の冒頭、松下村塾で久坂と高杉を中心に「ナポレオンと秀吉が戦ったらどちらが勝つか」を議論しているシーンの撮影だった。このシーンは途中から音声はオフになるが、実はアドリブで議論しており、「高良くんとどういうせりふの流れにする?みたいな話し合いはしました。今回の作品は特に議論する場面が多く、また、歴史的な共通認識を持っていたほうが演じやすいと思うので、勉強会は今後もやって行きたいと思っています」。
劇中の久坂と高杉に、東出と高良を重ねて見るのもまさに一興だ。
■知られざる久坂の人物像を掘り下げる
久坂は、長州藩医の家に生まれるが、両親と兄が立て続けに亡くなり、わずか15歳にして家族全員を失ってしまう。藩医・久坂家を継いで医者となるべく勉強をしていたが、武士として生きることを望み、松下村塾に入って松陰に師事。美声の持ち主で、背が高く、萩城下一の美男子だったと伝えられる。18歳の時に松陰の妹・文と結婚する。
松陰刑死後はその遺志を受け継ぎ、尊王攘夷運動のリーダーとなる。高杉らと、イギリス公使館の焼き討ちや、下関を通る外国船への砲撃を行う。「尊王=天皇のために」だった攘夷運動も過激に走りすぎたため、「八月十八日の政変」で長州藩は京を追われることに。失地回復の挙兵を訴える来島又兵衛らに押され、世に言う禁門(蛤御門)の変を起こし、そこで自刃。まだ25歳の若さだった。
「久坂は、長州藩の急先鋒であり、禁門の変を起こした過激派分子という印象を持っていました。今回、改めて勉強し直してみると、先進的で聡明で、実直な人だったことがわかってきました」
山口・萩博物館に収蔵されている久坂玄瑞の書簡には、久坂から文の兄・梅太郎宛に仕送りを頼んでいるものもあり、「多分に子どもっぽい、かわいい一面もあったんだな(笑)。英才というだけのイメージだけじゃなく、知られざる久坂の人物像を掘り下げて、一人の人間が生きていたことをしっかり伝えていきたいと思っています」。
大河ドラマでは、時代考証において異論が続出することが多々あり、『花燃ゆ』も例外ではない。もともと歴史好きな東出も「例えば、久坂の両親と兄が亡くなる順番など、気になるところはあります。しかし、ドラマとして目をつむれるところは目をつむって、乗っかれるところは乗っかってやっていきたいと思っています。歴史の勉強をさせられるんじゃなくて、人間の生き様、ドラマ性を楽しんでいただけたらと思います」。
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