人類が滅亡するまでの時間を象徴的に表すといわれる「終末時計」が、残り3分になった。アメリカの科学誌、原子力科学者会報が1月22日、発表した。
時計の針が動いたのは3年ぶり。針が進められた原因には核軍縮の取り組みが停滞していることのほか、地球温暖化を防ぐ取り組みが不十分であることなどを挙げており、課題解決の取り組みとして、原発から出る核廃棄物に関する議論を行うことなどが求められた。
■終末時計とは
終末時計は核戦争など人類が生み出した技術によって世界が滅亡する時間を午前0時になぞらえ、残り時間を「0時まであと何分」という形で象徴的に示すもの。人類滅亡の危険性が高まれば針を進め、心配が軽減されれば逆に針を戻すが、ノーベル賞受賞者などを含む同誌の委員会が定期的に状況を分析し、時間を設定してきた。
1947年に創設された当初は「残り7分」に設定され、東西冷戦による核戦争の危機が評価の基準だった。今まで最も0時に近づいたのはアメリカとソ連が熱核爆弾の実験を行なった1952年の「残り2分」。最も0時から遠のいたのはアメリカとソ連が戦略兵器削減条約に署名した1991年だった。
その後、気候変動や環境破壊などの要因も評価の基準に加えられ、福島第一原発の事故後の2012年には終末まで5分に進められた。
『終末時計』これまでの針の変化
■「原子力政策は失敗している」
今回の変更について声明は「滅亡を招く可能性は非常に高く、危険を減らす行動を今すぐにでも起こすべき」として、各国指導者にスピードと規模の両面で核兵器削減や地球温暖化対策に取り組むよう求めている。
また、声明は原子力政策について「失敗している」と指摘。コストや安全性、放射性廃棄物、核兵器への転用への懸念などをあげ、「原発の広がりが気候変動対策の大きな構成要素になるということに、合理的な人々は賛成しない」として、核廃棄物に関する議論を行うよう求めた。
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