過激派組織「イスラム国」に詳しいイスラム学者の中田考さんが1月22日、都内の日本外国特派員協会で会見を開いた。イスラム国が湯川遥菜さんと後藤健二さんの2人の身代金として2億ドル(約240億円)を要求している問題で、中田さんは「イスラム国の支配地域に人道支援に限定する形で要求額と同額の資金援助をしてはどうか」と提案した。
また、現時点では中田さんに対して日本政府からの直接の要請はないが、「イスラム国とのパイプはある」と話した。
中田さんが会見で話した主な内容は以下の通り。
「安倍首相がカイロで発表した中東各国への2億ドル供出の件ですが、中東の安定に寄与するためというのは理解できます。しかし、イスラム国と戦うため、と言いながら『人道支援だけをやっている』と言っても理解されない行為だと思います。2人が捕らわれているのは外務省も把握していたはずで、その状態で『イスラム国と戦う』と発言したのは不適切でした。
イスラム国と戦う同盟国に人道支援に限って資金援助するという論理は、イスラム国に対しても適用すべきだと思っております。これまでアフガニスタンやイラクで人道援助・経済援助の名の元に行われた政策は、スンナ派に対しては非常に扱いが悪かったと思います。
イスラム国の要求している金額ですが、人道支援、難民支援に限るという前提で、赤新月社(国際赤十字)を通じてトルコの仲介役となってもらって資金提供を行うのがいいかと思います。身代金を払うということではなく、トルコの仲介で赤新月社を通して、イスラム国の支配下にある地域の人々に人道援助を行うということです」
中田さんは、元同志社大教授。イスラム思想の分野では国内屈指の研究者で、昨年3月以降、調査などで5回、「イスラム国」の支配地域に入り、現地の様子を発表している。
朝日新聞デジタルによると、中田さんはイスラム国に北海道大の男子学生が戦闘員として加わろうとしたとされる事件に関係しており、10月7日に「イスラム国の知り合いの司令官と連絡を取り、学生のシリア渡航計画を伝えた」と話していた。
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