「神の存在を信じない人」は、エジプトでは牢屋に入れられる可能性がある。
AFPによると、1月10日、Facebook上で神を信じていないと告白した21歳のエジプト人の学生カリム・アルバナが、イスラム教を侮辱したとしてエジプトのブハイラ県裁判所で3年の実刑判決を言い渡されたという。
カリム・アルバナに不利な証言をするために裁判所の証言台に並んだ人の中には、彼の実の父親も含まれていたとAFPは報じている。そして、弁護士のアブドル・ナビ氏によると、「息子はイスラム教に反対する過激な思想を信奉していた」と父親は証言したという。
「ガーディアン」紙によると、学生は、2014年11月に「無神論者のカフェ」で、その場にいたほかの人々とともに逮捕された。このカフェは、当局によって現在閉鎖されている。
学生には懲役3年の判決が言い渡されたが、保釈金を払えば3月9日の控訴尋問まで保釈される、とAFPは伝えている。
エジプトの憲法は、イスラム教徒、キリスト教徒、それにユダヤ教徒に対して「完全な」信教の自由を認めている。だが、これらの宗教の信条に反する発言をした者は、宗教を侮辱した罪に問われる可能性がある。
人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によれば、エジプトでは、「過激思想を広めるために宗教を利用する者」が、神を冒涜した罪で訴えられている。そういった人たちが対立を煽ったり、一神教を侮辱したり、国の結束を乱したりするという理由からだ。
「ガーディアン」紙によれば、エジプトでは2011年から2013年までのあいだに、27人の人が「宗教を侮辱した」罪で有罪判決を下されている。たとえば2012年12月には、「エジプトの無神論者」というサイトを作成した27歳のブロガーに対して、3年の懲役刑を言い渡された。
また、2014年12月には、エジプト人コラムニストのファティマ・ナオット氏が、イスラム教の祝日、犠牲祭で動物を生け贄にする儀式を批判して告訴された。ナオット氏はFacebookに「Happy Massacre」(虐殺おめでとう)と投稿したという。
「エジプトの憲法は、信仰と表現の自由を表向きは保証しているが、実際には、無神論者はエジプトで最も保護されていないマイノリティのひとつだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチで中東および北アフリカ地域責任者を務めるサラ・リア・ウィットソン氏は述べている。「エジプト当局は、憲法に従い、無神論者という理由で人々を迫害するのをやめる必要がある」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]
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