エボラ出血熱の危機からマレーシア航空370便の失踪、「イスラム国」兵士の残忍な処刑動画公開まで、2014年は国際ニュースにとって異例の年だった。3月にプーチン大統領がクリミアを併合したときは、世界の注目がロシアに引き戻され、7・8月に起きたガザの戦闘で死者数は2000人近くに上った。
2014年、最も痛ましいニュースのひとつはカナダから届いた。10月22日の朝、オタワの国立戦争記念館で儀式歩哨勤務中の兵士ネイサン・シリーロさんが射殺され、そのテロ行為は世界に波紋を呼んだ。
シリーロさんの殺害事件は、イスラム教に改宗した男が2人のカナダ人兵士を襲撃した日の翌日に起こった。この事件後、国中が悲しみに包まれた。この事件で明らかになったのは、アメリカやイギリス、スペイン、ロシア、インドをはじめとするとする多くの国々が悲劇的な分岐点にさしかかっており、「イスラム国」などのイスラム過激派に刺激を受けた国内のテロにさらされるようになってしまったことだ。
2014年は政治的にも激動の年だった。インドでは人類史上最大の選挙が行われ、カナダのケベック州やイタリア、スコットランド、日本で重要な投票が行われた。フランスではスキャンダル続きのサルコジ前大統領が政治の最前線へまさかの復帰を果たした。
2014年は喜びの年でもあった。7月にブラジルで行われたワールドカップでドイツが4度目の優勝を手にし、2008年の財政危機から経済不況に苦しめられてきたギリシャではビーチや古代遺跡に観光客が戻ってきた。
以下では、ハフィントンポスト国際版の編集部がそれぞれの国の2014年最大のニュース、忘れられないニュースを紹介する。
国際ニュースの1年
ハフィントンポスト国際版の編集部が各国の重大ニュースをピックアップ
2014年1-12月
ハフポストギリシャ版:景気後退は続いているが観光客が戻ってきた
ギリシャの観光は2014年大きく成長し、景気後退が続いているにもかかわらず、観光客数は16.7%上昇した。観光客数、そして消費額ともに前例のない成長を見せ、ギリシャは世界の観光市場の中でもトップクラスへと上り詰めた。何年も続く不況を経て、明るいプラス材料となった。
2014年1月27日
ハフポストマグレブ版:チュニジアが新憲法を採択
中東諸国で民主化の動きが加速した「アラブの春」から3年、チュニジアでは1月に新憲法が採択された。2011年初頭の抗議デモから始まった民主化への移行が続いている。新憲法はアラブ世界の現代モデルとして歓迎されており、良心の自由と男女平等を強調し、信仰の自由を保証している。潘基文国連事務総長はこの合意を「画期的な出来事だ」として賞賛した。
2014年3-12月
ハフポストブラジル版:ペトロブラスがスキャンダルで窮地に陥る
南米最大の企業であるブラジルの国営石油会社ペトロブラスは、3月以来汚職の告発が絶えず、現従業員や過去の従業員を含め、数十人が起訴された。数十億ドル規模にのぼる汚職事件ではペトロブラスの役員を務めるジルマ・ルセスブラジル大統領も非難の矢面に立たされ、同社は第3四半期の決算を発表することができなかった。
2014年4月7日
ハフポストケベック版:自由党が選挙で勝利
ケベック自由党は4月の選挙後、多数派政権を組閣した。政権を得て以降、フィリップ・クイラード党首は厳しい緊縮財政の実施に着手したが、これは彼の選挙マニフェストには含まれていなかった。この財政削減案は12月に公表され、公共部門から37億ドルをカットする予定で、医療や大学財源、託児所、地方自治体年金、市の財源、教育委員会、その他の政策に影響を与えることになる。
2014年4月7日-5月12日
ハフポストインド版:モディ氏率いるインド人民党が勝利
4月から5月にかけて、インドでは投票有資格者8億1千450万人という世界史上最大の選挙が開催され、ナレンドラ・モディ氏率いるインド人民党がガンジー家のインド国民会議を敗り勝利を収めた。インド国民会議は10年間政権を担っていたが野党に転落し、モディ氏の人民党勝利によって、インドには30年以上ぶりに過半数与党が成立した。
2014年4月16日
ハフポスト韓国版:セウォル号転覆事故
4月16日朝、韓国の旅客船セウォル号が済州島に向かう途中で転覆した。合計で304人の乗客が死亡し、そのうち、多くの学生が含まれていた。フェリーの船長は11月に懲役36年の刑が宣告された。この惨事は国が社会的にも精神的にも自己反省を行うきっかけとなり、政府の緩やかな安全規制に批判が集まった。
2014年5月25日
ハフポストイタリア版:レンツィ首相が欧州選挙に勝利
イタリアの与党で中道左派の民主党が5月の欧州選挙で圧倒的勝利を収めた。この勝利でマッテオ・レンツィ首相は国内リーダーシップを確実なものにしただけでなく、極右政党の躍進が相次いだ他のEU諸国の趨勢に一石を投じることになった。
2014年6月2日
ハフポスト・スペイン版:ファン・カルロス国王が退位
6月、スペイン国王ファン・カルロス1世が全国放送のテレビ演説で自身の退位を発表した。国王は1975年以来王位に就いていたが、退位して息子のフェリペ6世に王位を継承した。この決断について国王は、「経済問題を抱える国民に”希望の時代”をもたらすもの」と述べている。
2014年7月10日-11月30日
ハフポストフランス版:サルコジ前大統領の政界復帰
フランスのニコラ・サルコジ前大統領は7月に金融スキャンダルに巻き込まれた。2012年の選挙戦のキャンペーン担当したPR会社が選挙戦の支出制限を回避するため虚偽の請求書を提出したことが明らかになったためだ。今回のスキャンダル以外にもいくつかの告発捜査、汚職の疑惑があるにもかかわらず、ジャンフランソワ・コペ総裁の退任後、サルコジは11月に国民運動連合(UMP)の総裁としてまさかの復帰を果たした。
2014年6月13日
ハフポストドイツ版:マラカナンで勝利
ブラジルで行われたワールドカップ決勝戦でアルゼンチンと対戦したドイツは、延長戦の残りわずか7分、マリオ・ゲッツェが4度目のワールドカップ優勝を確実なものにした。ゲッツェはアンドレ・シュールレからパスを受け、アルゼンチンのゴールキーパーを抜くボレーシュートを決めた。勝利を引き金にドイツ全土で歓喜に満ちた祝賀会が開かれ、準決勝ではホスト国ブラジルを驚愕の7対1で打ち破り、ドイツ人にとって最も記憶に残るトーナメントを締めくくるにふさわしい結末となった。
2014年8月9日-12月31日
ハフポストUS版:ファーガソンの射殺事件で抗議が巻き起こる
8月にミズーリ州ファーガソンで白人警官ダレン・ウィルソン氏が丸腰のアフリカ系アメリカ人年マイケル・ブラウンさんを射殺した事件は、抗議デモの波を巻き起こした。抗議デモに対して警察は強硬な対応をとったため、警察権力の武装化に対する議論が国民の間に広がった。またブラウンさん殺害は、アフリカ系アメリカ人が警察官から死に至るような武力を行使される象徴となった。11月に大陪審がウイルソン氏の不起訴を決定してからは、抗議行動は全米各地に広がっていった。
2014年9月19日
ハフポストUK版:スコットランド独立投票「ノー」
スコットランドの人口の84%以上が独立の賛否を問う住民投票に足を運び、スコットランドはイギリスにとどまることに賛成する投票結果になった。投票までの数カ月間、独立賛成運動が急速に高まったことで、予測よりもはるかに僅差での投票結果となった。
ハフポスト・カナダ版:ネイサン・シリーロさんが殺害される
カナダ国立戦争記念館の当番兵を務めていたネイサン・シリーロさんが、10月にイスラム教に改宗したマイケル・ゼハフビボー容疑者に射殺された。シリーロさんを殺害した後、ゼハフビボー容疑者は国会議事堂を襲撃し、銃撃戦の末に射殺された。スティーブン・ハーパー首相はシリーロさんの死を追悼し、「残虐で暴力的な攻撃」と非難した。
ハフポスト日本版:安倍政権が圧倒的勝利を収める
日本の与党自民党は12月の衆議院選挙で3分の2以上の多数を維持した。これにより安倍晋三首相は明白な国民の信託を得たとして、日本社会の大きな負担である経済衰退に焦点を当てた「アベノミクス」を推進することになる。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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