大韓航空を経営する韓進(ハンジン)グループ会長の長女で副社長のチョ(趙)・ヒョナ氏が飛行機のファーストクラスで行った「強権発動」が物議を醸している。ハフィントンポスト韓国版に掲載された韓国紙「ハンギョレ」の記事を紹介する。
12月5日0時50分、ニューヨークを出発して韓国に向かう大韓航空KE086便が滑走路に移動中、10分後に突然止まった。飛行機はバックしてゲートに戻り、一人を降ろした。降りたのは乗務員のユニホームを着たチーフパーサーだった。チーフパーサーを置いた飛行機は離陸して6日未明、韓国に到着したが、乗客約400人への客室サービスと安全を担当するチーフパーサーはいなかった。乗客らの話を総合すると、この事件は出張でファーストクラスに乗っていたチョ(趙)・ヒョナ大韓航空副社長(40・写真)の指示によるものだった。
あるキャビンアテンダント(CA)が他のファーストクラスの乗客と同様、趙副社長にマカダミアナッツを「召し上がりますか」と尋ねた。すると趙副社長は「どうしてこんなサービスをするのだ」と問い詰め、CAに飛行機から降りろと声を上げた。CAが「マニュアル通りにしました」と答えると、趙副社長はマニュアルを見せるよう要求した。趙副社長の叫び声にチーフパーサーがタブレットPCを持ってきたが、正しいパスワードを入力できなかった。趙副社長はCAの代わりに、チーフパーサーに飛行機から降りろと叫んだ。趙副社長の怒鳴り声は、エコノミークラスまで聞こえるほどだった。当時、ファーストクラスには趙副社長ら2人の乗客が乗っていたという。
大韓航空の趙副社長
機内サービスマニュアルによると、CAは乗客の意向を聞いてギャレー(調理室)に戻り、マカダミアナッツを紙に載せて提供することとなっている。大韓航空関係者は当時の状況について「趙副社長がほしいと言わなかったのに、CAがマカダミアナッツを持ってきたため、規定に反すると指摘して、チーフパーサーにサービスマニュアルを持って来るように言ったが、きちんとしなかった」「客室の安全に責任を負う態勢になっていないと判断して、チーフパーサーを降ろすよう指示した」と釈明した。乗客らの証言と若干異なるが、離陸のために一度発進した飛行機が、副社長の指示でチーフパーサーを飛行機から降ろして出発した事実を会社側も認めた。
韓国の航空法では、航空機の乗務員に対する指揮・監督は「機長」がする(50条1項)と規定しており、偶然、飛行機に乗っていた趙副社長の指示は越権行為と批判されそうだ。離陸直前にニューヨークの空港に降ろされたチーフパーサーは結局、12時間後の午後2時に出発したKE082便で韓国に戻ってきた。
趙副社長は、大韓航空を経営する韓進(ハンジン)グループ会長の長女で、アメリカで大学と大学院を修了し、大韓航空のホテルの免税事業部に入社。2006年に大韓航空の機内食事業本部副本部長(常務補佐)を務めた。専務を経て、2013年3月、副社長に昇格した。2013年5月にはハワイで双子の男の子を出産したが、男子に兵役の義務がある韓国で、海外の国籍を取得して兵役を逃れる海外出産ではないかと批判されたことがある。
この記事はハフポスト韓国版に掲載されたものを翻訳しました。
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー