フィギュアスケート選手の羽生結弦が公式練習中に頭部をけがした直後に、フリー演技に出場したことに、棄権させるべきだったと指摘する意見が専門家から相次いでいる。
ネット上では「感動した」「よく頑張った」とする声の一方で、頭部を激しく打ち付けて脳震盪(のうしんとう)を起こした恐れがあるとして、元オリンピック陸上選手の為末大(ためすえ ・だい)さんらは「選手を命の危険から守るべきだ」と競技会の対応を批判した。
■羽生、演技後にあごを7針、側頭部を3針縫う
11月8日に上海で開かれたフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ中国杯で、羽生は公式練習中に中国選手と激突。あごや頭から出血し、しばらく起き上がれなかった。その後、羽生結弦自身の強い意志で、フリー演技に出場して2位を獲得している。羽生は演技後、あごを7針、右側頭部を3針縫った。9日に日本に帰国し、精密検査を受けるという。
羽生のコーチであるブライアン・オーサー氏は羽生の判断を尊重したとして、次のように話していた。
「今はヒーローになる時ではない、と言い聞かせたが、結弦の決意は固かった。彼の目を見て大丈夫だと思ったし、普通に話せていたので彼の判断を尊重した」
(包帯姿の羽生結弦、フリー演技終え号泣:朝日新聞デジタル 2014/11/09 01:03)
■スポーツ界で広がる「脳震盪への備え」
ただし、スポーツ界では頭部負傷で脳震盪を起こしていた場合、死亡や重い後遺症につながるとして注意をうながす動きが広まっている。日本サッカー協会もJリーグにおける脳震盪に対する指針を策定。「脳震盪が疑われる場合は試合や練習から退くべき。短期間で回復したとしても試合復帰は避けるべき」と定めている。また、タックルなどで頭部を負傷するをことが多いラグビーでも「脳振盪 ガイドライン」が設けられ、プレーの制限などが定められている。47NEWSは、次のように報じていた。
「本人も周囲も脳振とうであることを認識しなかったり、軽く考えたりしてしまう。そのまま競技を続けると脳振とうを何度も繰り返し、致命的な脳損傷を招くことがある。特に怖いのは急性硬膜下血腫だ」とAさんの主治医だった中山晴雄講師は解説する。
(スポーツ脳振とうを防げ軽視は危険、競技中止を死亡や後遺症招く恐れ 医療新世紀 - 47NEWS) 2014/9/16)
こうしたことを受けて、為末さんや元柔道選手の溝口紀子らオリンピック出場経験者からも、「選手本人の強い意志があったとしても、棄権させるべきだった」として、次のような指摘が出ている。
■為末大さん
■溝口紀子さん
■全国柔道事故被害者の会
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー
関連記事